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Sakuma side.
…そっか。興味がないとか、そんなんでもなくて。
俺が、一歩引いてたから引いた。
すごくナチュラルに気づかってくれる、そういう人なんだ。
…じゃあ、俺から一歩近づいたらどうなるんだろう？
そう考えていた矢先、姫野さんがこの間プレゼントしたピアスを返却してくる。
「え、なんで？」
『えーと、』
口ごもる姫野さん。受け取ってくれたことに喜んでいたけど、やっぱり迷惑だったんだろうか。
「あ、趣味じゃなかった？」
『いや！そうじゃなくて』
「あ、そっか！彼氏さん！」
『しばらくいません』
え？！いないの？！さらに違う動揺。
「じゃあ、なんで？」
『き』
「き？」
金色が嫌？金属アレルギー？！
『金額知ってしまって…！』
「あー！金額の“き”！」
思ってた“き”じゃなくて思わず笑ってしまった。
周りの人の話ではプレゼントをもらいたくて芸能人と関係を持つ人も少なくない。
金額を知って。しかも返してくるなんて、でもここは金額とかどうでもよくて、とにかく受け取ってほしい。
「うーん、じゃあこうしようっ。
今日から俺ら友達な？俺は、さっくんって呼ばれてるから。Aちゃんって呼ぶ！」
『へ』
「だから、友達の印に。」
「お揃いだから、ね？」
髪の毛を耳にかけてピアスを見せる。なぜかそれを見て、Aちゃんが固まる。
『でも高すぎて…』
なんか、案、なんかないか、
「じゃあ！たまに。たまにで良いからカレーご馳走してよっ、まじで美味かったからさ！」
『…わかりました。』
よっしゃ！粘り勝ち！
『このブランドが好きなんですか？』
「うんっ、これね、Bonheur(ボヌール)って言うんだけど。幸せとか、穏やかな愛、とかそういう意味なの。」
『へぇ。』
「幸せとかって、人によってその重さも温度も形も違うからさ。そういういろんな幸せを大事にしたいな、って。」
自分の幸せの重さや温度、形がいまだにわからない。
小さい幸せを大事にして積み重ねて、自分にできるかわからないけど‥いつか、ひとりを大切にして幸せにしてみたい。
Aちゃんは、なにか思いあたることがあったらしく、しばらく考えたあとに口を開いた。
『さっくん。なんかありがとう…しっくりきた…！』
そう言ってこちらを見たAちゃんは、すごく可愛くて、俺はもっとこの顔が見たくなって。
やっぱりこれは、恋なんだとわかった。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
