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Sakuma side.
「…お風呂ありがとう〜、めっちゃ良い香りの入浴剤だねー！」
『わ、わたしの働いている会社のやつで。』
「えーっ、え、もしかして“Breath”？
「このパジャマも？」
パジャマの謎が解けた。
そりゃ新品持っていてもおかしくないもん。
納得納得。あ、でも彼氏がいないという確認にはならないか。
キッチンに立つ姫野さんをまじまじと見る。
そんなに化粧っ気はないのかな、ナチュラルなメイクにさっと束ねられた無造作な髪の毛。
すごく綺麗。
あんまり見過ぎたら失礼だな、とリビングの方に目をやる。
『綺麗』
「え、」
姫野さんが急に言葉を発したので、振り向くと、こちらを見ていて。
え、俺？
『あ、そんなピンクの髪の毛初めて見たので！
Maison雪坂の庭も春になったら桜が咲くんですけど、その桜みたいな綺麗な色だなー…あ、すみません。桜に例えられても、ですねっ』
「あ…あー！髪の毛ねー！テレビとかでもあんまり見ない？」
び、っくりしたー‥心臓がビヨン！って飛び跳ねた。
思わず動揺して自分からテレビというキーワードを出してしまう。
『え、ピンク頭って流行ってます？コスプレの世界だけかと思いましたっ、佐久間さんはそっち界隈の…？』
あれ、全然気づいてない！
「あーうんっ！アニメ好きっ、そっち界隈かと言われたら微妙なところだけど。」
あー、変なこと言っちゃったー、自分から振っといて変な言い方して感じ悪くなっちゃった、なにこいつって思ったよな…
『そうなんですね〜、カレー食べます？』
え、流した。
食べる！と、返事をしてダイニングに座らせてもらったけど、まったくまた話題にはならなくて。
あまりにも美味すぎるカレーに驚いて、自分で作るわけでもないのに隠し味なんて聞いちゃったりして。
情緒がジェットコースターなんだけど。
自分でもなんかわからないこの胸の高鳴りが、
やっぱり10年ほどご無沙汰だったあの感情なのか確かめたくなる。
「俺のことあんまり聞かないね、あの日も明らかに変だったし。さっきもサラッと流してくれたし。
今も、4人がけの席なのにずらして斜めに座ってる。」
4人がけって普通は迎えに座るけど、
明らかに選んで斜めに座っている様子があった。
『あー、あんまり人に言いたくない感じなのかなって。てか、言いたくなさそうなこと聞かないですよ。普通に』
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
