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ワインも割れちゃったし、ケーキもぐっちゃぐちゃになってしまったけど、まあ、しゃあない。
そう思っていたら、眠くなってきたので、急いでシャワーを浴びて。
大好きな、人間をだめにするクッションに寝転びながら、年末特有の深夜バラエティを見る。
嗚呼、年末最高。
ピンポン…ピンポン
『ん…、』
コンコンコン、ピンポン
忙しなくなるインターフォンにノック。
『んん‥！』
時計を見ると、まだ6時前？こんな朝っぱらから…誰。
「おーい。姫野さんっ。寝てるー？」
『…。』
え、っと
聞き覚えのあるようで、ないような声がわたしを呼んでいる。
「おーい、っ」
『！』
一瞬誰かわからなかったけど、色々頭が高速で働いて、
あ！昨日の隣人！と答えが出る。
ガチャリ！勢いよく扉を開ける。
「うおっ！勢い！」
『なんかありました？！』
「あ、い、いや。」
困ったことが発生しただろうか？
昨日は暗闇で見えなかった隣人と目が合う。
『え？』
いや、合わない。
「いや、服。それ見ていいやつ？ご褒美ならありがたく見るけど…。」
目をそらすというか、伏せられた。
『はっ！すみません！！わ、わたし下着メーカーに勤めていて！これはれっきとした部屋着で！』
ざっくりと胸元のあいたシルクのワンピースは適度にレースをあしらって、大人の雰囲気。上に着たもこもこのパーカーのチャックを勢いよくあげる。
「あ、うん、大丈夫、めっちゃ可愛くて目のやり場に困っただけだから、」
『か、かわ…』
「朝早くごめんね、寝てたよね」
『あ、いえ』
「寝癖ついてるっ」
『えっ…』
「あの、これ。新品未使用。結構持ってて。あげる。」
『え、なぜ』
「誕生日なんでしょ？今日」
『え』
「ワインにケーキ持ってたし。あれ？違った？」
『あ…そうです…』
「突然現れて楽しみ奪ってごめんね。」
『いや、でもこんな』
「もらってあげて、きっとそいつも喜ぶし、ね？」
『あ、ありがとうございます…』
「じゃあ、行くわ。朝顔見れてよかったー、ありがとう〜。
あ、俺、佐久間。佐久間大介。
よろしくね、Aちゃんっ」
『佐久間さん、ありがとうございます。お仕事頑張ってください。』
「ありがとう〜！」
手を振りながら門の方へ歩いていく佐久間さん。
31日の早朝からする仕事ってなんだろう、大変だなあ。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
