25 Sakuma side. ページ25
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Sakuma side.
怖い。
怖い。
デビューして一年くらい経った頃から不定期で入る謎の手紙と、人の気配。
最初はちょっと過激な人もいるのかな、くらいに思っていたけど、どうやらそれは違うらしい。まあ、それも長く続いたからわかったことだけど。
事務所とも話したけど、大事にしたくないのが一番の気持ちで、メンバーでも全部知っているのが阿部ちゃんくらいだった。
「大丈夫？佐久間。」
「うん、大丈夫っ！慣れたもんよ！」
「いやそれ、慣れたらダメなヤツだから。次だめだったらもう、俺が事務所と話するからね？」
「わかった。阿部ちゃんありがとねっ。じゃ、俺帰る〜。
みんな、お疲れー！」
「「「おつかれーっ」」」
12月30日23時半だ。
まさか、こんな年の瀬に引っ越すなんて。と、それを狙って物件を探していた。
芸能人といえば、都心の高層マンションが理想だと思う。テレビ局も近いし、なにしろセキュリティが段違い。
でもどんなセキュリティだろうが住んでることがバレた時点で負けなのだ。
だから俺は考えた。
こんなところに？！ってところを探そう。
そして、出会ったのがMaison雪坂＊。
森のような木々が生い茂った門。多分、中に人が住む建物があるなんて想像できないと思う。
木々を抜けると、レンガできれいに舗装された道。季節のお花。そして、古い洋館のような味のあるアパートが出現する。
入口にでかい門があって、外から中の様子は見えない。
車も中に駐車できるし、ぐるっと一周まわってみてもまさかこの中にアパートがあるなんて微塵も思えない。
しかも意外に都心からも近いのだ。
かなり魅力的！と、即決した。
荷物はできるだけ少なく、とにかく引っ越ししやすいことをメインで考えてしまっていた自分がいて。
今度は長く住みたいな。
安心して住みたいな。
と、願う。
「あとは車の荷物、っと。」
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
