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「こういう仕事をしてたら、自分の普通と思ってることがいつの間にか普通じゃなくなってさ。
気づかぬうちに自分が他のもんに変わっちゃうんじゃないかって、少し怖いから。」
『‥そっか。さっくんはさっくんだよ。』
仮に流されて変わったとしても、こうして身体に染み付いたことは残る。大事なものはきっと変わらないんだと思う。
わたしはさっくんの何も知らないけど。だから口に出しては言えないけど。
「…ありがとうっ。Aちゃん。
…いやー、おにぎりもお味噌汁もすごく美味しいっ。
彼氏できたらすごい喜ばれそう。」
『どうなんだろ。』
自分にはこれから恋愛できる気がしない。
「え?」
誰にも話す気はなかったのに、さっくんの温かな雰囲気でつい言ってしまった。
『あ、えと』
「じゃあそれは話す日が来たら、いつか話ししよ。」
ね?と、微笑む。
『えっ、…うん。ありがとうっ』
周りの人はもっと強引な聞き出そうとしたり、誰かとくっつけようとしたり、そんなことばっかりだった。
ほっこりして、
心に宿される。
さっくんって、ランタンの灯りみたい。
『あ。さっくん。』
「なあに?」
『何歳?』
「めっちゃ初期情報じゃん!」
『ごめん、私、さっくんがSnow Manってことしか知らないかも。あとは全部31日から今日までの見たまんましか。』
「えーっ、そっか!なんか良いね!
これからもっと知れるじゃん!」
『なんて前向きっ‥!』
「基本は前向きだからっ。俺はねぇ、31歳。」
『待って待って!31?!ぇえ?!』
これで?!
「今、これで?!って顔してるよ?」
『うん、思った…!』
「うっははは!Aちゃん面白すぎ」
『え、ちょっとどうなってるんだろ、触ってもいいですか?!あ、だめだった、今のなしで。』
両手を上げて、まだ触れてませんよってアピールをする。
いや、冷静になれなかった、肌が綺麗すぎて、髪の毛の艶がありすぎて。つい、犯罪者になるところだった。
「触ってもいいけど?」
『だめ!!それは良くないやつ!』
「えー?そうなの?」
『そうだよ!』
「じゃあ仲良くなったらね?」
約束。って、なんかよくわからない約束と指切りをさせられる。
「あと。ピアスも。仲良くなったらつけてね。」
にっこり笑ったさっくんがわたしの脳裏に焼きついた。
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作者名:rinao | 作成日時:2024年1月19日 5時