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あ〜
やってしまった！！
阿部さんたちの事情も知らないのに、あんなこと言っちゃった…！
いくら腹がたったとは言え、大人としてだめだった‥どうしよう。
でも。
さっくんが何者かわからないけど、
わたしにとって、大人になって久々にできそうになった友達だった。
大人になると新しい友達を作る機会は格段に減るし、男女の友達なら尚更少なくなる。
さっくんは。
あのときのさっくんは、
自分の立場とか男女とか関係なく、素のさっくんとして友達になろうとしてくれたように見えた。
だから、なにかの目的で近づいた、みたいな一枚フィルターをかけた阿部さんの言い回しにカチンときてしまったのだった。
『…でも！にしても‥』
「どした？Aなんかあった？」
『あ、ふっか、おはよー』
「おはよっ、朝からなんか考えごと？」
『わたしやってしまった。』
一瞬固まるふっか。
「え、殺人？！」
『ちがう、その殺ったじゃない。』
「あっはは！冗談冗談。どしたの？」
『なんか全方位に牙を向いた』
「え？Aが？！それはレアだなー。見てみたかった気もするな。」
『いやいや、良いもんじゃないよ』
「でもさ、Aが牙を向くくらいだもん。余程のことだわ。だから、わかってくれる人にわかってもらえてたらいいんじゃない？」
『うん…そう、なのかも』
どうせもう会わない人。
だからいっか、とはならないのだけど。
「で、今日からのチームだけど」
『うん、ふっかと一緒なんだよね？』
「そうっ。新作のキービジュアルでモデルになってくれるグループはもう決まっててさ。」
『高梨さんが決めていってくれたんだ？』
「そう、急に産休になっちゃったけど、最後の伝言で、絶対にモデルは代えてくれるな！！！って言い残してたー」
『じゃあすごい素敵なモデルなんだ…！』
高梨さんは私たちの先輩で、妊娠しても仕事をバリバリしていたけど、10日ほど早く産休に入った。代わりに私たち二人が高梨さんからの仕事を引き継いだのだ。
「そうそう、かなり人気らしい。
また資料読んでおいて。俺、ちょっと出てくるから。」
『おっけ。いってらっしゃい。』
ふっかはとにかく仕事が出来る。
こうして一緒に組むことは少なくないが、安心感が強い。
『私もやることやっちゃお。』
とにかく。切り替えて仕事を頑張るしかない、な。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
