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入社したての22歳の頃。
29歳になったらとっくに結婚していて、
なんなら子どももいて、二人くらいいてもいいか。
勝手にそんな妄想をしていたけど。
多様性とか、結婚の自由とか、そんな時代に後押しされて、今も22歳の時のまま、特に変化していない自分がいた。
でも。
『うーん、流石にさ』
「うん」
『孤独死は嫌かも。』
「色々すっ飛ばして老後？！」
ふっかの手本のようなツッコミの手が私の肩にあたる。
「あたしね、Aが心配なの。ひょいひょいって何でも卒なくこなしていって。
このまま、自分の大事なタイミングもサラサラ〜って。そのまま過ぎていくんじゃないかって。」
『麗ちゃん…』
「まあ、俺もそれはわかるかも。Aってこの7年間、弱音も吐かないし、愚痴もない、大丈夫かなって」
『いや、疲れたーとか、足痛いーとか言ってるよー？』
「いや、そう言うのじゃなくて？なんか、こう、どっかでAを大事に大事に癒やしてくれる存在ができたら良いなーって、思うわけよ。
まあ？俺でもいいけど？」
『いや、キモ』
「深澤アウトー！退場！セクハラ案件！解雇ー！」
「ごめんなさい！もうしません！すみません！」
警察呼びまーす！と、スマホを振りかざしている麗ちゃんにふっかが慌てて土下座している。
『ふっか、ありがとう。
私。せっかくみんなが言ってくれてるし、今年は頑張るよ！』
「おや？！」
『なんか頑張る！なんか！』
「Aらしいからまあ、それでいいかっ。なんか頑張りたいって思うだけいいか！じゃあー解散！今年もおつかれ！」
『よいお年をー、だね！』
そう、今日は12月31日だ。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
