余命宣告23日目 ページ23
.
「……癌の腫瘍はさらに大きくなっています。今のところ転移は見つかって居ませんが、このまま行くと5ヶ月後には。」
「分かってます。良いんです。あと5ヶ月も生きられるって事ですから。」
私には分かっているだけで5ヶ月は確実に生きられると言う時間があるのだ。逆に言えば、5ヶ月も生きられるかどうか。でも、私は幸せな方だ。
これから先何十年と生きていく。そう思っていた人が交通事故で突然ぽっくりなんてこともあるのだから。そう考えると、この5ヶ月を大切に出来る。
「ではまた1ヶ月後。」
「はい。ありがとうございました。」
あれから癌の症状はあまり出ていない。相変わらず食欲は無いが、痛みは薬のおかげでひいている。時々痛くなる事もあるが、その都度病院へ行き点滴を受けている。
そのせいで腕には注射痕が残り続けている。そのため、この暑い夏場でも半袖は着れない。仕方の無い事だ。この選択をしたのは私なのだから。
多分、この腕をメディアの人達に見られると覚醒剤を使用しているなどあることない事書かれるのだろう。そして世間からはバッシングされ、後世に、永遠に、悪い意味で語り継がれるのだろう。
仕方ない。
仕方ないは言い訳に過ぎない。そうだ。私はただ将来私の居なくなった世界で、私がどのような存在に変わるかが不安で不安で堪らないのだ。
だからあらぬ妄想を抱いては自分の決めたことだから仕方がない。と諦めている。
私が死んでからの世界は私が死ぬまで決まらないのだから。
いくら僻んでも、いくら妬んでも、いくら藻掻いても、今の私にはどうしようも出来ないのだ。
私はいつも通り薬を貰い、いつもはバスで通院していた道も、今日はタクシーで帰ることにした。
「□□駅まで。」
「分かりました。お客さん、体調悪いんですか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nao(プロフ) - 珊瑚さん» ありがとうございます！期待を超えるくらい泣かしてみせますね笑 (2020年1月21日 9時) (
レス) id: 9cbd37a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
珊瑚(プロフ) - うわ〜。これはいい小説な予感がします。最終回で泣いてしまうかも、更新待っています。 (2020年1月20日 23時) (レス) id: 75cba6923f (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - kagamikoto08さん» そうなんです！！爆豪が元カレでここから色々展開させていく予定なので楽しんでみて貰えたら嬉しいです！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: 9cbd37a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
kagamikoto08(プロフ) - 余命宣告悲しいけど、１３日目にして爆豪が元彼って驚きました！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: cbbf42e28b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Nao | 作成日時：2020年1月15日 22時
