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自室に寿達を入れた審神者は、薄手のタオルに包んだ保冷剤を東の鶴丸に寄越しながら言った。
審神者「…それで、原因は何?」
審神者は別に怒っている様子でもなく、柔らかい口調で問いかける。
しかし鶴丸達はお互い目をちらちらと合わせるだけで、口はずっと閉ざしたままだった。
痺れを切らした寿は、寿の鶴丸の肩に手を置いて言う。
寿「とりあえず…俺が言うのも何だけどさ、喧嘩は手ぇ先に出した方が悪いんだよ。国永、今回はお前が悪い。謝れ」
鶴丸『…』
寿「謝れ」
鶴丸『…』
寿「…俺に似ちゃって、変なとこで頑固なんだよなぁ…ほんとすいません、俺から謝らせて下さい」
ぺこりと頭を下げる寿に、審神者は両手を顔の前で横に振りながら、いや、そんな大げさな、と困った様に言った。
すると突然、寿の鶴丸が口を開いた。
鶴丸『…お前が、悪いんだ』
寿「おい!こら!」
寿は鶴丸を叱咤するが、鶴丸はいきなり立ち上がって叫ぶ。
鶴丸『許せるものか!こいつは俺の主を侮辱したんだぞ!』
審神者「え、」
鶴丸『主が元ヤンだから俺が怒りっぽいだと!?ふざけたことを言うな!』
寿の鶴丸は顔を真っ赤にして叫び続ける。
しかし殴ってしまったことに関しては反省しているらしく、もう殴り掛かったりはしなかった。
審神者の目付きは一瞬で変わり、自身の鶴丸に向かって言う。
審神者「鶴丸っ!君、そんなこと言ったの!?」
鶴丸「…言った」
審神者は、嘘、信じれない、と呟きながら寿の顔色を伺った。
寿は何を思っているのか、困惑しながらも表情には少し影を落としている。
審神者「鶴丸…人の悪口は言っちゃダメっていっつも言ってるよね」
鶴丸「…」
目を伏せてこくりと首を縦に振る鶴丸。
審神者「何でそんなこと言ったの」
寿「あ、いや、俺は大丈夫ですから!別に慣れてますし!」
審神者「悪口言われることに慣れてる人なんてそういないでしょ。そもそも、原因なに?鶴丸がここまでキレるって…」
ふと、立ったままの鶴丸と、体を縮こまらせて座っている鶴丸の目が合った。
お互いの目は「言うな」と語っていた。
少なくともこの二人には、Aの話題からここまで発展したとは言えない。
審神者も寿も政府も、Aを早めに平成に返したがっているのだ。そんな相手を好いていると言ったら、きっと心無い言葉が返ってくる。
お互い、それが怖かったのである。
〜追記〜
鶴のターン長い…一旦終わりだけど後でちろっと出す…
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そると@受験生(プロフ) - いつの間に沢山のコメントありがとうございます!これからも頑張りますぞ〜(*`・ω・) (2017年3月31日 18時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
あやとり猫(プロフ) - 初コメ失礼します!! シリーズを見つけて1章から飛んできました!!面白すぎて涙が出ました(勿論感動でも出ましたよ!!) 鶴さん…みかち…ジジィが尊いことはわかりました(( そして遅くなりましたが続編おめでとうございます!!更新ゆるりと楽しみにしております!!(*^▽^*) (2017年3月20日 1時) (レス) id: ace5edcb89 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!鶴丸さぁあん!!!ついに....!ついに....!恋をした!!!!短編も楽しみにしとりますぞ!!! (2017年3月19日 20時) (レス) id: d9abe7bbeb (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - やったいちこめだやっふぃ!!!!続編おめでとうございますありがとうございます、いつも楽しみにしてます! (2017年3月19日 20時) (レス) id: 2ca1777b5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2017年3月18日 11時