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多分、この家を出てから三十分ほど経っただろう。
薬箱の中を探っている老人の横を通って、部屋に入るA。
襖の向こうにいた審神者は、物悲しそうに寿の顔を覗き込んでいた。
寿の腕には点滴の管が繋がっている。
貴方「ただいま。何してんの?」
審神者「あ、おかえり。いや…なんか、痩せちゃったなぁ、って」
貴方「寿?元々じゃん」
審神者「いや。僕と会ってからは、ちょっとずつだけど体型、健康的になってきてたんだよね」
審神者は眠り続けている寿の顎の辺りを指でなぞって言う。
審神者「でも、今よく見たら、なんかまたやつれてて…ダメだよね、僕。ずっと一緒にいるのに気付かないとか」
貴方「…」
Aはつい、審神者から目を逸らした。
何も知らず強く当たってしまったことに、後悔を覚えていた。
「入るぞ」
老人が手に小さな封筒を持って部屋に入ってくる。
「夜中あたりに目を覚ますだろう。食えそうだったら粥を少し食わせて、食っても食わなくても白湯でこれを飲ませろ。薬だ」
審神者「おっと、」
審神者は放り投げられた封筒を慌ててキャッチした。
審神者が封筒の中身を覗くと、薬包紙の包みがいくつか入っていた。
老人は寿の腕から針を抜き、小さい絆創膏を貼って言う。
「治療は終わりだ。刺激の強い食事や酸性の食事は避けて、消化の良いものを食わせてしばらくは安静に。二日経っても良くならなかったらまた来い」
審神者は老人に向かって深々と頭を下げた。
審神者「ありがとうございました…!」
「さっさと帰らんか。邪魔だ」
老人は審神者に冷たい声で言う。
言われた通りに審神者は寿を背負って帰ろうとするが、老人は一瞬額に皺を更に寄せて言った。
「…この女はさっき、何を買いに行った…?」
審神者「あ」
寿の服も審神者の服も血まみれである。
ごめんAちょっと待ってて、と言って、審神者はまた部屋に戻った。
取り残されたAは、老人と目を合わせた。
その時初めて、老人が顔に笑みを浮かべているのを見た。
「…変わらんな、あいつも」
貴方「はぁ」
「ところで、先程言いそびれたが…お前」
貴方「はい?」
老人は、Aの顔をマジマジと見つめて言った。
〜追記〜
そろそろこのパート皆さん飽きて来ましたよね、私もそう思います_(:3」∠)_でももうちょっとまってね伏線建設中だから
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そると@受験生(プロフ) - いつの間に沢山のコメントありがとうございます!これからも頑張りますぞ〜(*`・ω・) (2017年3月31日 18時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
あやとり猫(プロフ) - 初コメ失礼します!! シリーズを見つけて1章から飛んできました!!面白すぎて涙が出ました(勿論感動でも出ましたよ!!) 鶴さん…みかち…ジジィが尊いことはわかりました(( そして遅くなりましたが続編おめでとうございます!!更新ゆるりと楽しみにしております!!(*^▽^*) (2017年3月20日 1時) (レス) id: ace5edcb89 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!鶴丸さぁあん!!!ついに....!ついに....!恋をした!!!!短編も楽しみにしとりますぞ!!! (2017年3月19日 20時) (レス) id: d9abe7bbeb (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - やったいちこめだやっふぃ!!!!続編おめでとうございますありがとうございます、いつも楽しみにしてます! (2017年3月19日 20時) (レス) id: 2ca1777b5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2017年3月18日 11時