三平、てめぇマジでそろそろ良い加減にしろよ。【刀剣乱舞】

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結さんは、不思議な人だった。
いつも微笑みを絶やさず、掴み所のない人。
長い間一緒にいても、まだ分からないことばかり。

まだ僕が山姥切を「君」付けで呼んでいた時の話である。


「ねえ、山姥切君」

山姥切「何だ」

「結さんってさ、いっつもニコニコしてるけど根はどんな人なの？」

山姥切「そうだな…主のことは、正直俺達にもよく分からない」

「そっか」

山姥切「あー…そうだ、あんたは知らないかもしれないが、主は中々に腕っ節があるぞ」

「え？あの人が？」

山姥切「ああ。あんたと初めて会った時、倒れていたところを見つけたと言ってただろ？」

「うん。違うの？」

山姥切「俺達が見つけたのは、あんたが踏んだり蹴ったりされている最中だ。主がそれを止めたんだ」

「え!?そうなの!?」

山姥切「凄い勢いで相手に殴り掛かってな。正直、長い付き合いの俺も知らない一面で驚いた」

「喧嘩、強いってこと？」

山姥切「見た限りではな」

「…ふぅーん…」


それからであろう。
僕が独学で格闘技を学び始めたのは。
前々から恐喝にも遭いやすいタイプだったので、良いきっかけになった。

何より女の人に守られるなんて、燭台切君じゃないけど格好悪いじゃないか。

その一心で毎日筋トレや走り込みなどを行った結果、二、三年年経つ頃にはかなりの筋肉がついた。
風呂で鉢合わせた加州に、
「何で可愛い顔してんのに、首から下までそんな筋肉付いちゃった訳!?怖い！」
と言われるくらいまで。
普段から長袖のゆったりした服ばかり着ているから、気付かれなかったのだろう。
その話は本丸中に知れ渡り、不覚にも皆にドン引きされたのだった。今では一応、良い思い出である。



そして出会ってから五年目の秋、僕は付き合ってもいない彼女にプロポーズする決心をした。
茶の間で二人きりになっている時。そこで話を持ち掛けよう。
そう思っていたのだが。


結「ねえ、私達会ってから今日で五年よね。あ、そろそろ結婚する？」

「ぇ………うん」


なんと、アッサリ先を越されてしまったのだ。
しかも「私と結婚して下さい！」とかじゃない。「あ、そろそろ結婚する？」だ。軽い。軽過ぎる。あって何、あ、って。


結「とは言っても、もうくっ付いてるも同然よね。毎日会ってるし。慌てずゆっくり準備しましょ」


その時は小さく返事をしながら、左手に隠し持った指輪を悔しく握り締めたものだ。




〜追記〜

いつからこの話は純愛系ラブコメディになったよ…(遠い目

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