検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:103,174 hit

36 ページ46

狭間から吐き出されたA達は、折り重なるようにして地面に次々と倒れ込んだ。
懐かしい本丸の香りがする。

目の前に見えるのは土に汚れた足袋。
顔を上げると、そこには疲れ切ったような審神者の顔があった。


審神者「みんな無事だね…良かった…」


あー、と気の抜けた声を出してその場に腰を下ろし、天を仰ぐ審神者。
辺りを見回すとそこは本丸の庭の真ん中だった。
暗い空の西の方からは、橙色が少しばかり覗いている。


大倶利『戻って来たのか…』


大倶利伽羅が額の汗を拭って呟くと、どこからか聞き覚えのある声が聞こえて来た。


乱「ねぇ!帰って来た!寿さん達が帰って来た!」

愛染「おい、あれAじゃねえか!?」

獅子王「お前ら早く!」


食事の途中だったのであろう。大広間の辺りから刀剣男士達が次々と飛び出してくる。


寿「…」


そんな中で寿は呆然と地面を見つめていた。
それを見た審神者は寿に近付き、寿の頭をくしゃくしゃと撫でながら微笑んで言った。


審神者「おかえり」


寿は少しだけ審神者と目線を合わせたが、また下を向いてしまう。
と、二人の背後から声が聞こえた。


こん「一体これはどういうことなのか、説明して頂きましょうか」

貴方「?」


短い足でこちらに歩み寄って来たのは、変な柄を持つ狐のような生き物だった。
その気迫に、走って来た刀剣男士達が足を止めて押し黙る。
狐は疑心に満ちた目をして問い掛けた。


こん「寿殿。貴方は何処に身を置いていたのですか?」

寿「…何処に、って…そもそもお前は何だ?妖怪の類か?」

こん「わたくしは監視役のこんのすけにございます。貴方の問題行動についてお聞かせ願いたいのですが」

寿「…!」


寿の顔から血の気が引いた。
まさかこんなものが監視役だなんて、思いもしなかったのだろう。


こん「先程東殿の通話を聞く限り…寿殿は、平成にいらっしゃったのでは?」

寿「…」

こん「呆れました。刀剣男士への暴力行為に加えて、平成での長期滞在とは」


しんと静まり返った本丸の真ん中で、こんのすけは淡々と続ける。


こん「審神者として、如何なものか」


寿の肩が震え始める。


こん「寿殿。政府は貴方を、正式に処分…」

審神者「待ってよ」


その時、審神者がこんのすけの尻尾を鷲掴みにした。

37→←35



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (170 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
412人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ , 女主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りなほ@受験生(プロフ) - ありがとうございます(`・ω・´)私自身青江クラスタなのでそう言って頂けるとホントウレシィ… (2016年12月18日 0時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - ↓青一江じゃないです。アオーエです。 (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - もう……本当にこの小説大好きです(笑)寿も東も夢主も大好きだぁー!!東の本丸の青ー江が好きすぎる。更新楽しみにしてます! (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - この話は割と寿中心なのです( ˇωˇ )トラブルメーカーェ…グラサンは大爆笑でした (2016年11月1日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
白鶴(仮)@プリンは犠牲になったのだ - 寿…お馬鹿さんですか、お前は……  グラサンwwそういやそうだったwwwww (2016年10月31日 14時) (レス) id: 064ce5e387 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そると | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年9月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。