三分で顕現したのは平成の一般人だった【刀剣乱舞】

長話はいつの時代も ページ8

料理をしていたら、祖母を思い出した事。
いきなり包丁が光りだした事。
包丁しか持たずに此処へ来た事。

Aは、自分の体験した全てを審神者に話した。


審神者「まさかね……うーん…今から話す事は僕の想像だけど、口を挟んだりせずにちゃんと聞いてね」


審神者は参ったように呟くと咳払いをして、こくりと頷くAに向き直った。



審神者「まず君がこうして僕達の所に来たってことは、刀剣の身になったんだと思う。

此処には、刀剣が人の姿になった『刀剣男士』って呼ばれてる子がいっぱいいるんだ。
包丁なんて初めて見たけど、君も彼らと同じように考えるよ。


僕達、歴史修正主義者…つまり歴史変えようとしてる奴らと戦ってるの。

ちょっと歴史変えられただけですごい変化生んじゃう事もあるからね。

そこで、君にはひとつの刀剣として僕達と戦って欲しいんだ。

もしかしたら歴史修正主義者が君を此処に連れてきたのかもしれないしさ。
それだとすると、なおさら戦わないといけない理由があるんじゃないかな？

この戦ってのは正直なとこ、すっごい危ないんだよね。
その包丁を破壊されたら終わり、人で言う『死』になる。
けど、僕らが精一杯フォローするよ。
刀剣男士は皆個性的で楽しいから、すぐに馴染んで助け合えると思う。


君が無事に元の場所に帰れるように…


ダメかな？」



審神者がひとしきり話し終えると、山姥切は低い声でAに呼びかけた。


山姥切「おい」


貴方「…んぁ？」


いつの時代も、長話されると眠くなってしまうもの。校長先生のお話的な。

Aは、審神者が一生懸命話しているにも関わらず、堂々と居眠りをしていたのだった。
気が付いたAは目を擦って大きくあくびをすると、人差し指を立ててあっさりと言う。


貴方「ごめん、長過ぎて眠くなった。もう一回」


審神者もこれには呆れたのであろう。
真剣な表情からがっかりしたような表情に変わり、そのまま机に顔を突っ伏し、力を込めて絞り出すように言った。


審神者「…僕らと…敵を倒そう…！今僕ちょっと良い感じだったのに…！」


随分と要約したため、Aにきちんと伝わったかどうかはわからない。
審神者は『あの人に聞いてみなきゃ…』とひとりで呟き続けている。


山姥切「…こんな適当で大丈夫なのか？」


と、山姥切が不安そうに言ったところで、Aは誰かが外れた障子戸の前にいることに気が付いた。

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