ラウンド15☆夢主視点☆ ページ16
真っ白の頭を抱え始めてから、どれくらい時間が経っただろう。
先程加州に斬られたのは夢だったのだろうか。
いや、そんなはずはない。
斬られた瞬間の鋭い痛み、絶望、意識が朦朧として行く感覚…全てが本物だった。
だが。
衣服はスッパリと斬れてしまっているのに、体には傷ひとつ付いていない。
柱に飛び散った血も、衣服に染みた血も、全てが何も無かったかのように消え失せている。
まるで自分の怪我が一瞬で治ってしまったような、そんな感じだった。
そんな経験などかつて一度も無かった。
転べば膝を普通に擦りむいたし、その怪我は一週間は綺麗にならなかった。
包丁で指を切れば、何度もその傷口が割れて中々治らないということも普通にあった。
刀剣男士のことはおろか自分のことさえ分からなくなってしまった今は、ひとり廊下でうずくまっているしか出来ない。
でも、ほんの少しだけ希望を託すとするのなら。
『大広間で待っているぞ』
先程加州を止めた、白髪の青年の放った言葉が蘇った。
もう頼るべき人物は刀剣男士しか居なかった。
もうどうにでもなれ。
そんな思いを胸に、Aは立ち上がった。
***
深呼吸をしてから、大広間の襖をそっと開ける。
視線が自分の方へと一気に集まったのが分かった。
「あ…どうも」
姿勢を若干低くして部屋に入るA。
その姿を刀剣男士達はじろじろと見ていたが、特に何か危害を与えようといった感じは見受けられなかった。
ふと、刀剣男士のうちの一人が立ち上がる。先程の白髪の青年だ。
「よく来てくれたな。今はお前…主に危害を加えるつもりはないから、そう警戒しないでくれ。俺は骨喰藤四郎だ」
骨喰はAにそこに座るよう促したので、Aはその場に正座をする。
座った時、部屋の端にいた加州と目が合った。
一瞬背筋がぞっとしたが、加州はすぐにAから目線を逸らす。
それに気付いた骨喰はAに言った。
「加州にはもうきつく言ってある。安心してくれ」
「は、はあ…」
まだ表情に戸惑いの色を浮かべているAの右後方から、突然ひょっこりと黒髪の青年が顔を出した。
「どうも、俺、鯰尾藤四郎です。そんなに緊張しないで下さい。お互い色々事情がありそうですから、話せば分かり合えますって」
黒髪の青年はAの肩を軽く叩きながら、安心させるように言った。
〜追記〜
更新遅れててスミマセヌ…忙しいのです_(:3 」∠)_
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そると(プロフ) - ナツカさん» 一応この物語は完結したら少しいじってpixivの方にも載せたいと思っております!最後になってしまいましたが、これからも楽しく、張り切って書かせて頂きますのでよろしくお願いします♪ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ナツカさん» うわああああこんなに褒めて頂けるとは…(´ノω;`)ウレシイ…!!!大体の結末は考えていますが、自分は気分屋なので今とはガラッと変わるかもしれませんね( ˇωˇ )あと現在はもう受験を終えて高校一年生やってます…紛らわしくて申し訳ありません(汗)→ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 長文、大変上からの無礼な感想誠に失礼いたしました。ただ、是非完結まで追いたいです。占ツクをやって3年近くたちますが、1番と言っていい程楽しめる作品です。勉強との両立、大変だと思われますが、ご自愛のもと、どうかこの素晴らしい作品を書き上げてください!!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 先が読めなくて、主人公と刀剣がどう和解するのか、はたまたバッドエンドなのか、予想がつかず妄想が膨らみ大変ワクワクします。本当に、もっと評価されるべきです、何故HIT数がこんなに少ない……! 正直占ツクよりも、pixivなど年齢層の高い場所で受ける作品かもです (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - ギャグも、キャラをよく理解しかつ自分の中でキャラを動かせてるのだと思います。違和感なく楽しめます。受験生ということでしたが、高校3年生ですか? その年でここまで書けるのは、脱帽、尊敬に尽きます。結末までの構想は練ってあるのですか? 続きが気になります (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 18時