ラウンド30 ページ31
「やっと起きた?三日くらい寝てたよね、どんだけ強くぶん殴ったの?」
襖の陰から顔を出したのはAだった。
獅子王はAの方を振り向くと、Aの問い掛けに答える。
「ああその、あれだ、酒瓶でぶん殴ったからな!結構俺も酔ってたし?」
「えっそれ下手したら死ぬじゃん」
「ヘーキヘーキ!刀剣男士って割と頑丈なんだよ、な、青江…」
獅子王は、続いて青江の方を振り向いた。
しかし青江は返事をしなかった。
いや、出来なかった。
「青江さん?どうしたんだい?」
石切丸の声は、青江の耳には届いていない。
思い出したのだ。あの夜のことを。
青江はただ一人で薄ら笑いを浮かべ、こめかみの辺りに冷や汗を浮かべているだけだった。
その様子に何かを察した獅子王は、Aが部屋から出るよう何とか促す。
「あれ、青江ちょっと怒ってる?参ったな、こうなると面倒なんだ青江は…悪い、ちょっと主は出てくれるか、下手すると脇差飛んでくるし。負傷者出したこともあるしさ」
「えっなにそれめっちゃ物騒…まあ、喧嘩はいいけどほどほどにやってよ」
青江の顔色を伺いながら、Aは部屋を後にした。
部屋に流れる異様な空気。
その中で獅子王は青江におずおずと話し掛ける。
「あ、青江…?どうした?」
「…あれは…まずいね、かなり」
「まずいって、何が?」
石切丸の問い掛けに、青江は顔を引きつらせながら静かに答えた。
「やっぱり、主に悪霊が憑いてるわけじゃない。どう足掻いても、あの人自身が生霊だ。それも、僕が昔斬った幼子の霊だ…」
「は?ど、どういうことだよ」
驚きを隠し切れない獅子王に、青江は続けて言う。
「彼女は多分…いや、きっと、あの幼子の生まれ変わりだ。あの面影、間違いない」
「と、いうことは」
「うん。刀剣男士や審神者だけに霊力が影響するのは、きっとそのせいだよ。あの人の本能…刀を恨む生霊がそうさせるんだ。こんのすけ君が言ってたのは、間違ってなかった」
青江の肩は、小刻みに震えていた。
Aの正体を掴めたことによる歓喜、達成感、そして新たに湧き上がった恐怖。
行き場のない感情たちが群れを成して、ただただ青江の中で渦巻き続けていた。
〜追記〜
あけおめですことよろです。
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そると(プロフ) - ナツカさん» 一応この物語は完結したら少しいじってpixivの方にも載せたいと思っております!最後になってしまいましたが、これからも楽しく、張り切って書かせて頂きますのでよろしくお願いします♪ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ナツカさん» うわああああこんなに褒めて頂けるとは…(´ノω;`)ウレシイ…!!!大体の結末は考えていますが、自分は気分屋なので今とはガラッと変わるかもしれませんね( ˇωˇ )あと現在はもう受験を終えて高校一年生やってます…紛らわしくて申し訳ありません(汗)→ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 長文、大変上からの無礼な感想誠に失礼いたしました。ただ、是非完結まで追いたいです。占ツクをやって3年近くたちますが、1番と言っていい程楽しめる作品です。勉強との両立、大変だと思われますが、ご自愛のもと、どうかこの素晴らしい作品を書き上げてください!!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 先が読めなくて、主人公と刀剣がどう和解するのか、はたまたバッドエンドなのか、予想がつかず妄想が膨らみ大変ワクワクします。本当に、もっと評価されるべきです、何故HIT数がこんなに少ない……! 正直占ツクよりも、pixivなど年齢層の高い場所で受ける作品かもです (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - ギャグも、キャラをよく理解しかつ自分の中でキャラを動かせてるのだと思います。違和感なく楽しめます。受験生ということでしたが、高校3年生ですか? その年でここまで書けるのは、脱帽、尊敬に尽きます。結末までの構想は練ってあるのですか? 続きが気になります (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 18時