三途の川リターンズ【刀剣乱舞】

ラウンド23☆獅子王視点☆ ページ24

自分の部屋に戻って、鵺を小さい方の布団に寝かせる。鵺にタオルケットを掛けてやり、自分も布団の上に寝転がる。
久々に食べる飯は、美味かった。

勿論、燭台切と歌仙の料理はいつも美味い。
しかし自分は、つい最近まで食事もまともに摂れていなかった。
獅子王は加州と同じく、前の審神者に酷い仕打ちを受けていたうちの一人である。


きっかけは鵺だった。

前の審神者は性格を歪める前、鵺を可愛がってくれていた。
鵺は審神者にブラッシングして貰うのが好きで、よく一匹で前の審神者の部屋を訪れてはねだりに行っていた。
その頃は特に不安な要素など無かったので、基本的に本丸の中なら自由にさせていた。

しかしいつからか、鵺は審神者の部屋に行かなくなったどころか、審神者を見ただけで怯えるようになったのである。
どうしたんだと聞いても何も答えない鵺に、自分は鵺を半ば無理やり審神者に預け、部屋の様子を覗き見ることにした。

部屋では、審神者が鵺に暴行を加えていた。
サンドバッグか何かと勘違いしているんじゃないか。そんな風に思える程、鵺は痛ましく殴りつけられ、蹴りつけられていた。
蹴り飛ばされた鵺は容易く壁に打ち付けられ、低く呻く声は審神者の笑い声に掻き消されている。

これには自分も激怒し、襖を開け放って部屋に飛び込んだ。
その時何を叫んだかは覚えていない。ただひとつ言えるのは、自分がそこで取り返しのつかない位のことを叫んでしまったということだけだ。

その日から、自分は審神者に虐待されるようになった。

特に、一人で阿津賀志山に出陣しろ、と言って派遣された時はあわや折れる寸前だった。
鵺のサポートもありなんとか帰還出来たが、審神者が自分を手入れすることは無かった。

自力で歩くこともままならず、人間の治癒能力に任せるしかなかった自分の部屋に、食事は一切運ばれて来なかった。後から聞いた話だが、燭台切達が持って行こうとしても審神者に妨害されていたらしい。


何も飲まず食わずで丸二日経った頃、鶴丸が水と食料を持ってひょっこりやって来た。
天井裏から。
何でも燭台切から相談を受けて、以前悪戯ルートとして使っていた道を自分の部屋まで繋げてくれたらしい。

自分はすぐに鶴丸から受け取った竹筒の水を飲み、ラップに包まれた握り飯を口に運んだ。

その握り飯の味は、最悪だった。




〜追記〜

文章込み入ってるｩ…

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