第七話 同形 ページ9
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「ね、“良いもの”が見れたでしょ?」
満足気に笑う朽に、冷ややかな視線を向ける。
腹立たしいのは、コイツが顕現状態であろうと無かろうと、虎杖が指を喰ったという事実には一切関与していない事だった。
『(ここでぶん殴ったら八つ当たり……でも痛い目に合わせてやりたい……)』
「よいしょ、っと。楽しかったし、そろそろ戻ろうかな」
『あっ待てコラ!!』
「じゃあね〜!」
跡形も無かったかのように姿を消した朽。
いや、もう一度顕現させることは出来る。今度は僕の命令で。
だが言わずもがな、呪力消費の負担は僕持ちである。コノヤロウ。
『……恵くん、怪我大丈夫?』
「見た目よか酷くねぇ。つーかお前、朽顕現させてたんだな」
『あー、うん。今回の任務は別に出さなくても平気だと思ったんだけど、珍しく出て来たがってたから……何かあるのかなってね。………実際あったわけだけどさ』
恵くんに血を拭うようにと ハンカチを渡して、補助の到着を待つ。
__両面宿儺を受肉した一般人。
いや、あれは、一般人じゃない。
恵くんや五条先生がそれに気がついてるかは分からないけれど、虎杖という少年には何かがある。
『(少なくとも、僕に“何か”があったように)』
五条先生が彼とすぐに仲良くなれると言ったのは、彼と僕の呪いの形が似ているからだろうか。
「………愛、車来たぞ」
『おし、戻ろっか』
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_翌日
『やっぱ反転術式の治癒じゃなきゃまだ頭重い?』
「そうだな、……さっさと高専に戻って家入さんの治療受けねーと」
『僕が効果結晶使えればちょっとはマシだったかもなんだけどなぁ〜。』
「そういや、花厳さんは使えてたっけか」
『……』
一晩が明け、五条先生からの連絡により呼び出された場所へ向かう道中。
キチンとした治療を受けられていない恵くんの頭には包帯がグルグル巻きにされていた。
『僕も花厳さんですけど〜?』
「あー、良さんな。あの人は花厳家の術式も使いこなせてんだろ」
『才能ありまくりで本家でも恩顧被ってんの、可哀想だよね。バフ系の能力の効果結晶は便利だけど、本家が出しゃばってくるなら僕にはなくて良かったかな』
「お前が使いこなせてたら、二重で面倒なことになってたかもな」
確かに、と軽く同意をする。
それから、目的地に到着。
五条先生、虎杖と合流した。
「?どっか行くの?」
「東京」
「伏黒!……と、手から武器の!」
『……何だよその覚え方……』
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2021年2月20日 21時