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第三十五話 策戦 ページ38





『(つーかそもそも、ダメージ無かったんだよな)』


その現場に居なかったからとか、知り合ったばかりだったから、とかじゃなくて。
特級呪霊、その思考回路を他よりも幾分か知っている僕からしたら、虎杖__そして宿儺が、簡単に命を落とすという事実自体信じ難いものがあった。

虎杖が死んだことはすっかり信じ切っていた。けれど、例えば生き返ったのだとしても、何ら驚くこともなかった。

とは、いえ。


「……おい」

「あ、はい」


ゲシ、と、虎杖が入っていた箱を足蹴にする野薔薇。
その瞳は、僅かに潤んでいた。


「何か言うことあんだろ」


「生きてること……黙っててすんませんでした……」



虎杖が無事合流。
そして、七対七の交流会が始まろうとしていた。








_試合前ミーティング


「あのぉ〜これは……見方によってはとてもハードなイジメなのでは……」

「うるせぇしばらくそうしてろ」


「まぁまぁ、事情は説明されたろ。許してやれって」

「喋った!」

「しゃけしゃけ」

「なんて?」


死んだ奴が実は生きてた、なんてのは漫画なんかじゃよくある話だけれど。
実際にそれに遭遇するとは思わなかった。

ご立腹の野薔薇に、遺影の額縁を持たされている虎杖。
それを横目に、口を開く。


『それより、メンバー増えちゃったけど作戦どうすんの?』

「確かにな。作戦変更か?時間ねぇぞ」

「おかか」

「そりゃ悠仁次第だろ、何が出来るんだ?」

「殴る、蹴る」

「そういうの間に合ってんだよなぁ……」


団体戦形式ってのは予測通りだったから、大幅に変える必要は無いだろうけど……元の作戦に上手く組み込むとしたら、どこに配置するのが正解だろうか。

正直、一度任務を共にしただけでは虎杖の戦闘力は微妙に把握しきれていない。
加えて、死んでたうちにいくつか任務をこなして呪力もある程度は使いこなせてきたようだし。


「虎杖が死んでる間何してたかは知りませんが、東京校・京都校全員が呪力なしで殴り合ったら」

「虎杖が勝ちます」


その言葉に、二年生の三人が目を丸くした。
それも、京都校の人達をよく知らない僕じゃ断言はできないけれど。


「面白ぇ」


あの東堂って人とやり合ってる恵くんが言うなら、間違いないのだろう。








「お、愛。なんか久しぶりだな」

『ん』


試合開始に向けて、髪をキュッと軽く結ぶ。
ストレッチをしていれば、虎杖が声をかけてきた。


『入学早々特級と遭遇なんて不憫だったね。』

第三十六話 退陣→←第三十四話 誹謗



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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2021年2月20日 21時

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