第三十四話 誹謗 ページ37
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「なっ……なんで皆手ぶらなのー!?」
快晴の空模様に、野薔薇の驚愕の声が響き渡る。
どうやら野薔薇は京都で交流会が開催されると思っていたらしく、大きな荷物を持って集合場所へとやって来ていた。
そういえば、ここ数日の野薔薇との会話には微妙に噛み合わない点があったかもしれない。
「去年勝った方の学校でやんだよ」
「勝ってんじゃねーよ!!」
「俺らは去年出てねーよ」
『野薔薇、本音出てる』
観光に行きたいがあまり、地面に膝をついて相当ショックを受けているみたいだった。
「去年は人数合わせで憂太が参加したんだ」
「里香の解呪前だったからな、圧勝だったらしいぞ」
『桁外れだなぁ乙骨くん』
「許さんぞ乙骨憂太ー!!」
と、野薔薇が喚いたところで丁度到着したらしい。
真希さんの声にそちらを振り向いた。
「あら、お出迎え?気色悪い」
京都校の面々は計七名。
こちらより一人、人数が多いのか。
ピリピリとした会話の京都校を黙って見ていれば、バッチリ茶髪と目が合った。
「この間以来だな、愛。元気そうで良かった。今日でさよならだけど」
『僕こそお兄ちゃんが万全みたいで安心した!本家の言いなりに僕を殺そうとしてるんでしょ?人形みたいで可愛いね♡』
「(調子戻ってきたな……)」
「(いつもの倍くらい煽りスキルが上がってるけど)」
青筋が立った良が、冷めた鋭い瞳でこちらに一歩踏み出そうとした時。
京都校の引率らしき先生が、階段を上ってきた。
「はーい、本番前に喧嘩しない。まったくこの子らは……。」
「で、あの馬鹿は?」
「悟は遅刻だ」
「
「誰もバカが五条先生のこととは言ってませんよ」
『人徳だよね(無い方の)』
言いたい放題なところで、五条先生が何かを運んで猛スピードで駆けてきた。
急に出てくんな。
「やぁやぁ皆さんおそろいで。私出張で海外に行ってましてね」
「急に語り始めたぞ」
「はいお土産。京都の皆にはとある部族のお守りを。歌姫のはないよ」
「いらねぇよ!」
「そして東京校の皆にはコチラ!!」
「ハイテンションな大人って不気味ね」
運んできた大きな箱に何が入っているのか、あまり興味も無いけれど、視線をそちらへ向ける。
___と。
「故人の虎杖悠仁君でぇーっす!!」
「はい!!おっぱっぴー!!」
驚嘆とか困惑とか、色んな感情が渦巻いて、その場が しんと静まり返った。
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2021年2月20日 21時