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第三話 落日 ページ4




『はぁ〜〜〜疲れた。人がいない場所まで誘導してから祓うとか間怠っこしいんだけど』

「ならその場で祓っちゃえば?衆目に晒されながら野次馬には見えない敵と戦ってるところ、見てみたいなぁ」

『いい加減黙ってろや……』


朽が戻るには僕が呪力を消費するか、朽自身の意思で戻るかのどちらかのみ。
現状、一般人に害のない姿のコイツのために呪力を使ってやる気にはなれなかった。

それもこれも__


『……呪物の気配が消えない』

僕が小さく呟けば、朽は愉快そうに目を細めた。


コイツが態々 正式な契約許可の術式を利用して僕の前に現れたことと何か関係があるのか。

……本来であれば、僕が許可を下ろさなくたって勝手に朽が顕現する事は出来る。

正式な契約許可__つまり、双方的に顕現を承認することで発動する特殊な契約術式は、顕現に微妙に面倒な手順が必要になる。
朽が顕現することを望み→僕が許可する、という手順だ。

それと同じように、コイツを戻す行為にもまた面倒な手順が発生するのだ。
それが今言った、【僕が呪力を消費して戻らせるか、朽自身の意思で戻るかのどちらか】なんだけど。


『まだ呪力を使い過ぎるなって忠告?それとも自分の目で見たい“何か”が待ってるのかな』

「察しがいいね。どっちもだよ。」


曇りのない笑顔がこちらに向いた。




「__さぁ、夜だ」

『……』


「良いものを見せてくれ」









『お、連絡来た。もしもーし?』

《緊急事態だ!!俺が追っていたのは呪物が入っていた箱の残穢だった!!中身はそっちにある!!》

『はぁ!?そっちって……校内?どっかに置いてあるの?』

《いや、箱を持ってた奴の知り合いだ。今夜校内で札を剥がすつもりらしい!》

『はァ〜〜〜!?』


一般人ってこんな危機管理能力なわけ!?

呪力を感じ取ることは出来なくとも、深入り無用の一線くらい分からないのか?
僕は最初から、一般人のレッテルで生きたことは本質的には無かったから、面白半分に呪いに関わる人間の思考は理解出来ないけど。


『つってもまだ気配はそこら中にあるんだよね、一応校舎の方捜すけど僕一人じゃ絶対見つけらんないから!ワンちゃん早く連れてきて!』

《玉犬な!すぐ行く!》


ブツ、と通話が切れる音を聞き届け、校舎へと駆け出す。

既に辺りは真っ暗で、言を俟たないが生徒はいない。
警備員くらいなら居るかもしれないが__遭遇したら気絶でもさせておこう。
僕は責任取らないけど。

第四話 即断→←第二話 具現



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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2021年2月20日 21時

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