独り白【呪術廻戦】【男主】 (ページ27)

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第二十四話　悵恨ページ27

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＿翌日

昨日の暗雲とは打って変わり、快晴も快晴。
本格的に梅雨が終わり、夏に入ったという様子だった。

コンビニで買い物を終え、目的地へと歩き出す。
蝉の声が耳に届き、嫌な季節が来たことを更に実感させられた。

『お、いたいた』

階段に座ったまま、案に違わず暗い面持ちの二人。
僕は、そんな二人とは相反するように明るく振る舞う。
空元気とも取れるかもしれないが、そんな事はどうでもいいのだ。

『二人とも、お疲れ様。なかなか大変だったみたいだね。怪我大丈夫？』

「それは全然。てか、アンタの方が怪我酷いじゃない」

『いやいや、数でゴリ押しされたって感じ。大したことないよ。そうだ、二人ともアイス食べない？』

先程コンビニで購入したアイスをゴソゴソと取り出す。

一瞬、四つ買いそうになったのは秘密だ。
気づかずに買ってここまで持ってきていたら、余計に傷を抉ることになっただろう。

『ほい、恵くん』

「あぁ」

ただでさえ笑わない恵くんだが、いつも以上にその表情は硬い。
僕は特に何か言うでもなく、アイスの袋を開いて食べ始める。

「アンタさぁ、セーター来てるけど、暑くないわけ」

『んー、暑いよ。でも肌が弱いから、あんまり出しちゃダメなんだよね』

「せめて薄手にすりゃいいのに」

たわい無い会話は、何となく、その核心に触れることを避けていた。

『(僕は、割と平気だけど)』

むしろ、先の任務での出来事の方が余程こたえた。
虎杖とは会ってから二週間程度しか経っていないし、僕自ら距離を置いていた。
だから二人ほどダメージは少ないのだ。同じ任務に着いていた訳でもないってのもあるかな。

『(ただ……問題は)』

彼の死因、宿儺と入れ替わって心臓を取り出されたことによる自死とのことだけれど、宿儺が何の策もなしにそんな手段を取るのかという疑問はある。
そこらの低級呪霊ならば兎も角、特級レベルのそれなりに頭が切れる呪霊。みすみす自分が蘇る機会を手放すものだろうか。

『(なんてのも、……希望的観測ってやつか)』

アイスの最後の一口を食べ終えたところで、袋にゴミを捨てた。

妙な空虚感は、結局のところ僕ではどうにも出来なかったという事実から来るものだろう。
あの任務を早く終わらせたところで、到底間に合うものでは無かった。
仮に彼らと同じ任務に着けたとして、僕一人加わったところで、特級や宿儺を相手にどうこう出来たものではなかった。

せめて、僕がただの呪術師であれば。