独り白【呪術廻戦】【男主】 (ページ23)

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第二十話　器量ページ23

「今の化け物何なんですか！？花厳先輩！！」

「俺ら、移動教室でここを通ったら、さっきみたいな化け物がウジャウジャ現れて……！」

「先生、早く逃げようよ！また変なのが出てくるかも！」

『……』

他の生徒は帳の外に避難している。
帳は校内全域に広げたわけじゃないから、恐らく体育館辺りに。

そんでその体育館に向かうまでの道には、僕がここに来るまでに特に呪霊が密集していたグラウンドの近くを通る必要がある。

僕がそいつらを狩るまで、彼らを好き勝手に避難させる訳にはいかない。
とはいえ＿＿＿呪霊の発生源であるこの場所ではまだやる事がある。

『おい、騒ぐなクソ雑魚ども』

「か、ざり……先輩？」

『雑魚を相手にしてる暇はない。お前ら図書室に避難。絶対安全だから動くな。外に出たらぶっ殺す』

「か、花厳？転入して雰囲気が変わった……のか？まさか不良に」

『なってねーようるせぇな。教師は率先して生徒守れってんだ早く入れ馬鹿ヤロー！！』

僕の態度の豹変ぶりに、辺りにいた数名は理解が及ばず戸惑っていた。
……が、気圧されて何とか図書室に避難してくれた。
これで巻き込みもこれ以上の目撃も無いだろう。

「愛、猫かぶり諦めるの早すぎじゃない？笑い止まんないんだけど」

『そもそも未だに僕が歴代優等生みたいな噂に残ってんのがおかしいんだよ……忘れろよいい加減……』

こんなの、虎杖や野薔薇に知られたらめちゃくちゃ面倒くさいだろうが。
彼らは別任務に回ってるから知られることは無いと思うけど。恵くんはもう知ってるし。

『まぁ良いそれは。問題はこの場所だよ』

「思い出の場所だね」

『悪い方のね。どうせお前のせいだろ、呪霊が必要以上に寄ってくるの、お前の術式の副次効果と酷似してる』

「そうだねぇ、ここで強い術式を使ったのが原因かな」

考え込むような仕草をするものの、ハッキリと原因は理解しているらしかった。
聞こえるように舌打ちをしてから、その場所(、、、、)へ立つ。

『お前が残した呪力なら、僕なら吸収出来るでしょ』

『境界伸張』

『……吸収しろ』

僕の術式が言霊を認識し、その言葉通り周辺に残された朽の呪力を吸い込んだ。
吸い込みきったところで、拡げた境界が閉じていく。

『これで呪霊の大量生産は止められた。よね？』

「あぁ」

振り向けば、その瞳は弧を描く。
何度も思い知らされていた、筈なのに。

『………何やってる』

僕はやはり、詰めが甘い。