独り白【呪術廻戦】【男主】 (ページ18)

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第十五話　撞着ページ18

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「お兄ちゃん、ありがとう！」

『どういたしまして。気をつけてね。』

子供に手当のお礼を言われ、思わず口元が綻ぶ。
ポンポン、と頭を撫でてやってから、見送った。

『危ない場所には、もう一人で来ちゃダメだよ』

「「………」」

子供に手を振っていれば、後ろから視線を感じる。
居心地の悪いそれに溜息をつきながら振り返った。

『……何なの』

「いや、手慣れてんなと思って」

「そういや愛って、何で呪術師やってんの？」

会話の流れだろう。
先程まで、野薔薇が高専に来た理由を話していたわけだし。
とはいえ＿＿正直に全てを話そうとは思えない。

『成り行きだよ。花厳は呪術師の家系だから、小さい頃から呪いに触れてきたってだけ』

用意していた言葉。
知り合ったばかりのこの二人に込み入った話をするつもりは無かった。
我ながら情が薄いとは思うが。

「……」

野薔薇の視線は、しばらくの間外れなかった。
きっと僕の嘘なんて、見破られてしまっているのだろうな。……なんて。

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「お疲れサマンサ～！！子供は送り届けたよ～」

廃ビルの外へ降りれば、相変わらずテンションの高い五条先生が迎えてくれた。

『どっと疲れた』

「愛にとったら一人の方がやりやすい任務だっただろうけどね。どう？悠仁とは友達になれた？」

『………』

そういやこの人、ちゃんと“友達”って言ったな。
分かり合うとか、認めるとかじゃなくて。
僕の中にある複雑なものが、友達であれば受け入れられると見透かしていたのだ。

『……ムカつく』

「えぇ？何のこと？」

解ってる。
この人がしていることは、僕にかけている言葉は、全て、僕の為だってことくらい。

それでも赦されない。
僕が下すべき決断は、とうの昔に消え去ってしまった。

僕に残された道は、たった一つしか、ないのだから。

『友達なんて作ったって意味ないだろーが。どうせ＿＿』

「おーい！五条先生！愛！今度こそ飯行こーぜ！ビフテキ！」

「シースー！！」

言葉にならなかった音が、小さく漏れた。
“どうせ”。
その続きを、何と言うつもりだったのだろうか。

「ねーえ、愛。」

『……』

「矛盾してるよね、ほんと」

語りかけるような言葉は、僕の返事を求めてはいなかった。

「善人から逃げ出して、悪人に成ったはずの君がさ。」

「人助けの呪術師として生きている」

見えない蒼が、こちらに向いた。

『……復讐だって、言ったでしょ』

僕の理由は、それだけ。