第十話 雑沓 ページ12
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「一年がたった四人って少なすぎねぇ？」
「じゃあオマエ、今まで呪いが見えるなんて奴会ったことあるか？」
「……ねぇな」
「それだけマイノリティなんだよ、呪術師は」
翌日。
五条先生が言っていた通り、もう一人の一年生の出迎えのために駆り出された。
肝心の先生はまたもや微妙な遅刻だが。
「っていうか俺が四人目って言ってなかった？」
「入学は随分前に決まってたらしいぞ。こういう学校だしな、何かしら事情があんだろ」
「おまたせー！」
たわいない話を聞き流していれば、五条先生が到着した。三分遅刻。
「制服、間に合ったんだね」
「おうっ、ピッタシ！でも伏黒とも愛とも微妙に違ぇんだな？」
「制服は希望があれば色々いじって貰えるからね。」
「え、俺そんな希望出してねぇけど」
「そりゃ僕が勝手にカスタム頼んだもん」
もんじゃねぇだろもんじゃ。
僕の制服も、恵くんのシンプルなものと違ってショートマントタイプのものだった。
敢えて言わせてもらうと、五条先生の独断である。
「それより、なんで原宿集合なんですか？」
「本人がここがいいって」
「アレ食いたい！ポップコーン！」
『……おい、待て』
観光する気満々の虎杖の服の裾を、強めに引っ張る。
全く引っ張れてないが。コイツの体幹どうなってんだ。ゴリラかよ。いや、今はそれはいい。
『お前らマジで言ってんの？あの、人がゴミのように寿司詰めされてる、ッあの空間に飛び込むの！？』
「寿司詰め……は、されてなくね？」
『だから吐くほど人が多いって言ってんの！何なのあれ！馬鹿じゃねぇの人多すぎ！無理！』
「人混み苦手なん？だからさっきからずっと黙って俺の服掴んでたのかよ」
その指摘に、我に返った如く手を離す。
それから何事も無かったかのように視線を逸らすが、当たり前だが時すでに遅しと言うやつだった。
「へぇ〜？人混みが怖いなら先生の手握ってていいよ〜？ほら、こっちだよ愛ちゃ〜ん」
「誰だって苦手なモンくらいあるよな。ほい、手」
『誰がそんなものに頼るか！！恵くんヘルプ！』
「無理」
この間ハンカチ貸してやっただろ恵くん。
恩を仇で返す気か。大した恩じゃないけど。
僕を弄って気が済んだのか、五条先生が歩き出したので、他二人も同じく待ち合わせ場所へと歩き出す。
僕は咄嗟にまた虎杖の服の裾を掴んでしまったが、特に気にする様子も無いこいつの反応に、盛大な舌打ちをかましてやった。(虚しかった)
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作者名：リナ | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2021年2月20日 21時
