俺…女なんですけど。ーanother storyー【及川徹ver.】

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【国見side】

｢…はぁ…｣



我ながら情けない。



｢俺、一ノ瀬の事好きだわ。｣



言うつもりはなかった。でも…



朝、一ノ瀬が変だった。



しかも及川さんに対してだけ。



そして昨日の肝試し。



及川さんがAをお姫様抱っこしてたのは見てた。



当然良い気はしなかったけど。



だから、気付いてしまった。



Aはきっと、自分が恋してる事を自覚してる。



その相手が及川さんだってことも。



当たり前の展開で、分かっていたはずなのに。



当たり前だけどAを欲しいと思ったし、及川さんに負けたくないとも思った。



でもそれと同時に、そんな事は不可能だってことも分かってた。



それなのに。



一ノ瀬がするであろう話。



まぁ俺と月島が無理矢理言い出した事なんだけど。



その内容はきっと…



｢私、徹の事が好き。｣



そう言うAの姿が頭に浮かんで。



言わなきゃいけない。



一ノ瀬がその言葉を口にする前に。



これが最後のチャンスだ。



今言わなかったら、俺はきっと…



そう思ってしまったらもう止められなかった。



｢話したいことがあるから、ちょっといい？｣



告白した時のAの顔…



びっくりした表情で、でも徐々に顔が赤くなっていって。



その後少し強引に連絡先を交換して。



国｢この後フラれるなんて、分かりきってるのにな…｣



恋は盲目だなんて良く言うけれど、本当にその通りで。



及｢あ、国見ちゃん！A見なかった？｣



国｢あいつなら、体育館の方にいると思いますよ。｣



及｢そっか、ありがとう！｣



国｢…及川さん。｣



及｢！…なに？｣



国｢俺、負けないように頑張るんで。気抜いてると貰っちゃいますから。｣



及｢？それって…｣



国｢それじゃ、失礼します。｣



ねぇ、及川さん。



アンタらが両片想いなのもどれだけ一ノ瀬を大切に思ってるかも知ってます。



それでも。



俺だって一ノ瀬が欲しい。だから…



正々堂々、真っ向勝負しますから。



そう簡単に貰えると思ったら大間違いですよ？

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