限界オタクの倫理観で呪術師をやってみた２【呪術廻戦】 (ページ7)

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第五十六話　ガバガバ観念ページ7

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「………どういうことですか、五条先生」

「簡単に言うと、Aは結構内情を知ってたって感じかな」
『私からこの人に聞いたんだよね、イクチを倒す方法』

伏黒くんと話した時、私があまりにも役立たずだと現実を突きつけられてしまったから。
たぶん、悔しかったのだと思う。

五条先生に尋ねれば、返ってきた言葉はただ一つ。
倒すことは不可能。

そもそもイクチに呪われるということがどういうことなのか、詳細に説明された。

＿＿＿＿噛まれた左腕がイクチの分身のような概念になる。
イクチを傷つければ私の左腕も傷がつくし、私の左腕に込められた呪いを利用して術式とやらを使おうとするということは、イクチを使役するということになる。

だからイクチを殺すということは、私の左腕を切断するということ。
呪われてしまった時点で、命運が結ばれた。

呪物の蛇ノ禰＿＿笛を吹いてしまえば、対等だった縁は主従関係となるけれどね。と付け加えられて。

「五条先生に唆されたようなものか。……その話を聞いて、笛を吹いたと。でもどうやってだ、笛は俺が回収していたのに」
「それは僕も気になった」

『……いや、あの』

動きが止まったままの蛇を一瞥して、重たい口を開く。

『………そもそも蛇に噛まれるより先に、吹いたことあるんだよね』

「……は？」
「は？」

禍々しい笛だなぁとは思った。
落し物だし、過去に誰が使ったものかも分からないし。
でもちゃんと洗えば清潔だし、あとはほら、部活で使っていたホイッスルがちょうど壊れてしまっていて＿＿

「ばっ……馬鹿なのかお前！？」
「ちょ、ちょっと待って……お腹痛い……！」
『そんなに責められることじゃなくない！？興味本位で吹くくらい！』
「興味本位じゃなくて実用的に使っちゃってるよね……っ！」
『わら、何わろとんねん！！』

要は、蛇に噛まれた時点で縁と共に主従関係も結ばれてしまったのだ。先に呪物を使ってしまったから。しかも、とても能天気な理由で。

イクチが私を協力させようとしたのは、私の力を利用するというよりもたぶん、主従関係を解除させるため。
利用ではなく、脅しだ。

『……ということで、まぁ、私はあの大きい蛇を自由自在に扱えるわけなんですよね』
「はぁ……。いや、でも、それはどうだろうね」
『？』
「痣。なかなか酷いことになってるよ」
『……うわ』

指をさされた左腕は、赤黒く膨れ爛れている。
噛まれた時よりもよほど酷い見た目だ。