限界オタクの倫理観で呪術師をやってみた２【呪術廻戦】 (ページ6)

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第五十五話　主従関係ページ6

「五条先生、これはやっぱり＿＿」
「うん。葛原Aの願い事を叶えて、逃げ場を無くさせることが目的だろうね」

増幅した呪いの蛇は校庭で暴れ回っていた。
校舎はまだ無事だったが、それも時間の問題だろう。
私が予想していた通り、この夜の闇の中に迷い込んだのは、私が嫌っていた人間だけ。

つまり、呪術師である伏黒くんたちという例外を除けば、私のチームメイトだけだ。

『伏黒くん！五条先生！』
「！」

死亡したのは一人だけ。
全員気絶しているけれど、残りは彼らが救助してくれたようだった。

「お前、平気なのか」
『あの蛇が私の弱みに漬け込もうとしてるのに、あっちに協力しないからって話？』
「……アイツら、嫌いなんだろ」

イクチは私を媒介に完全な体を手に入れようとしている。
つまり、呪った人間の私の力を必須としている。
そのために私の弱みに漬け込んで、嫌いな人間を全員殺してやろうとこの空間に引きずり込んだ。
自分の嫌なものを排除してくれるなら喜んで手を取るはずだ。だから狡猾な思考で私を惑わせようと。

『私、めちゃくちゃめんどくさい女だからね』
「それは……(知ってる)」
『自分でもわかんないくらい、好きと嫌いがそのまんまの意味じゃないの』

上辺だけの好き嫌いで物事を判断したあの呪いは滑稽だ。
私自身でも理解できないような感情を汲み取ろうとした。人でもないくせに。

『ただ、ちょっとだけ、やりたいことが出来たから』

ちらりと五条先生の方に目を向ければ、不思議そうに首を傾げた。

『五条先生、あれをどうにかしたら私のお願い一個聞いてよ』
「内容によるけど……君一人でどうにかできる類のものじゃないよ？あれ」
『何にも確約してくんねーじゃん……』

まぁいいか、とため息をついて、縛っていた髪を解く。
それから、包帯を外した。

『私を呪術高専に入学させて』

「＿＿＿」

晒された痣が、広がっていく。

「なにを……」
『呪いの蛇、私に協力を求めるなら動きを止めなさい』

大きな蛇は動きを止める。
私の言葉が通じているらしい。

『私は貴方の存在を認める。貴方を害させない。断る術はありません。……貴方は、私に逆らうことが出来ない』

『そうでしょう、蛇ノ禰を遣う者の血を口にしたお前は、既に私と主従関係を結んだから』

「なッ……五条先生！？」
「あっはははは！やっぱりもう、その笛使っちゃってたんだね」

それはもう愉快に笑う男に舌打ちをした。