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第五十三話 どうだって ページ4

『厄介になるって、どんな風に?』
「呪いの効果が不明だから。そのまま退治して、お前にどう影響があるか分からない。
それに、イクチの顕現はお前を媒介にしているようなものだから、多少は有利に動けるかもしれないっていうのが五条先生の推測」

いたら便利、くらいのやつか。
どこに行っても私は同じなんだな、最重要の場所には行けない。納得している自分が恨めしかった。

「あれぇ、葛原、伏黒と話してんの?」
『あ』
「何、仲良かったん?不良と?マジ男と仲良いよねアンタ」
『あはは……』

無遠慮に話しかけてきたチームメイトと女子が私の肩に腕を置く。
伏黒くんは特に表情を動かさなかったけれど、何も言わずにその場を去っていった。

「昨日のあれさぁ、同情されてたんでしょ?」
『……あれって』
「アイツから打ち上げ誘われてたらしいじゃん。サヤカから聞いた」
『(誰だよサヤカ……)』

アイツ、というのは親切にしてくれる男子のことだろう。
だとすればサヤカとやらは、たぶん私に片付けを頼んだ女子だ。このチームメイトほど邪険な態度は取らない、中途半端な女子。

「お前の自尊心、男で成り立ってんのマジでウケる。後ろから刺されたりしないといいねぇ」
『(自尊心なんてねぇけど………)』

めんどくさいから愛想で誤魔化しておく。
私に飽きた女はすぐに上辺だけの女友達の輪の中に入っていって、慌ただしいなぁとだけ感想。

ああいう態度を取らなければ、こうしてつっかかる人間が出てくるのだ。消去法でこっちの方が楽だと判断した。
でもまぁ、大事なものを失っている自覚はあった。

『………あほらし』





■□




それからまた真っ白な時間を過ごした。
だから男の子と約束した例の放課後はすぐに来て、頼まれた通りに職員室に顧問を呼びに行って、その日も何事も無く終わる予定だった。

だって、呪術だとか現実味のないものに触れてすら、私は何も重要なものには任せられなかったから。

気づいたら事件は終わっていて、学校生活も人生も、そういう風に終わるものだと思っていたから。



『今日はそうじゃないんだ』


日が暮れるよりも早く、夜が訪れた。
仕方なくで連絡先を交換したチームメイトととも、伏黒くんとも、連絡が取れない。
生徒の少ない放課後だけど、職員室にまで人がいないのは如何なものだろうか。


『……これが、呪いってやつ』

何がどうなっているのかは分からないが、きっとイクチとかいうえげつない呪いのせいなのだろう。

第五十四話 呪いの言葉→←第五十二話 建前



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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2022年3月18日 8時

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