第五十二話 建前 ページ3
「……ごめん、話割っちゃった?」
『いや、大した話はしてないので。それじゃあ』
「えっ?いやいや、一緒に行こうよ、学校」
彼がなぜそこまで私に良くしてくれるのかは知らないが。
この男は部内で誰とでも話すような人気者で、何ならモテの部類に入る男だったと思う。
私といるところが見られたら、彼はきっとおかしな偏見に晒されることだろう。
『一人で行きたいんだけど』
「また遊ぼうって言ったじゃん。計画立てようよ」
『社交辞令……』
「嫌じゃないなら、ホントに行かない?あれなら他の人誘ってもいいし」
こういう人間が人から好かれるのか。
無理矢理って程でもないけど、たぶん人の内心求めているものを把握できる人柄だから。
ぼっちというのは話しかけてもらえると少し嬉しくなる。ことが多い。多少強めの方が効果あり。
だからまぁ、彼のしていることはかなり良い男の行動なのだ。意図はマジで分からんが。
「来週の放課後さ、ちょっと手伝って欲しくて」
『……何?』
「顧問にお礼のプレゼント渡すって話あっただろ。昨日の打ち上げの後買いに行って、もう渡すだけだから、三年全員で」
『出席しろって話ですか』
「まぁそうなんだけど、先生を呼び出す係も頼みたいなって。葛原さん気に入られてただろ」
後輩が出来ても片付けを率先していたら、教師からの評価は高くなるのは仕方がないだろうな。
まぁ呼び出し係くらいなら構わないか。了承の意を告げた頃、丁度学校の正門を通り過ぎた。
いつもより少しだけ、遅い到着だった。
□■
「葛原」
『あ、学校で話しかけて大丈夫な感じですか』
「人とつるまない奴が人とつるまない奴と話してもどうともならねぇだろ」
『ぼっち仲間ってコト』
「喧嘩売ってんのか」
相変わらず不機嫌そうな伏黒くんとも、少しだけ距離感が分かってきた。
「蛇は恐らく、校内に潜伏してる。暴走するのも恐らく校内だ」
『学校ぶっ壊れる?』
「の前に何とかすんだよ。呪力を吸って蛇自体のサイズも大きくなっているはずだから、見つけやすくはなる。しばらくは夜間の調査を実行する予定だ」
『夜……はちょっと無理かも。大丈夫な日もあるけど、基本的にその判断が難しいし』
両手を合わせて謝るように答えれば、特に気にせずにそうかと返される。
あぁこれ、私居なくても大丈夫なやつか。
「呪われているお前が必要になるのは退治の際だ。協力というより、近くにいないと厄介になるってだけだしな」
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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2022年3月18日 8時