限界オタクの倫理観で呪術師をやってみた２【呪術廻戦】 (ページ15)

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第六十四話　おかしな変化ページ15

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『……』

寝息を立てる友人を見て、引くことの無い痛みに耐えながら思い返す。
あの日からまた何事も無かったように時間が過ぎて、あとはもう、東京に向けて準備を済ませてこの地を発った。
駅のホームまで見送りに来る人は誰もいない。
ここまでくると笑えるくらい、私はこの場所で一人だったらしい。

例えば私がここで死んでも。
それを知って悲しむ人なんて過去の居場所には存在しない。
何も知らないまま生きていく人たちが、少しずつ私を記憶から消していく。
それが楽で、でも寂しいと思ってしまった。思えてしまった。私が触れてきた全部のせいで。

『……伏黒くーん、死んだ？』
「シャレに、なんねぇんだよ……」
『だって綺麗な顔で寝てんだもん、死んでそうじゃん』
「言ってる意味が分からん」

ゆっくり起き上がれば、横たわったままの彼が怪訝そうに眉をひそめた。

「……お前、怪我してんだから」
『あぁ、……うん』
「………は？」
『ちょっと、ヤンキー出てるよ』
「だって、……お前……」

染み出た血液に皮膚も服も汚れているけれど、患部から更にそれが溢れることは無かった。
理由は明白で、傷口が塞がっているから。
その代わりみたいに、左腕の痣がじわりと広がっている。

「反転、術式……」
『私のじゃないし、私の意思でもないし』
「それ、五条先生には」
『言ってないけど、知ってんじゃない？私がちょっとずつ＿＿』

「A！アンタだいぶケロッとしてるわね」
「え、伏黒は！？死んだのか！？」

ボソボソと小さな声量の会話が、元気印の二人に遮られ。
私の言葉は最後まで紡がれなかったけれど、察しのいい彼ならそれも分かってしまったのだろうと思う。

『死んでないよ〜死にかけだけど』
「ビビった〜！死んでんのかと思った〜！」
「声量落としてくれ」

それから、伏黒くん(と一応私)で倒した敵が落とした宿儺の指をどうするかという話になって。
食べるのが一番コンパクトじゃない？という私の提案はフル無視され、ひとまず一番元気な虎杖くんが持っておくことになった。

食べるなよというフリの如き念押しでそれを受け取った虎杖くんだったが、手のひらに突然現れた宿儺の口に受け取った指を飲み込まれ不憫にも責められる結果となったのだった。
あと新田さんがすげぇ怒ってた。

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「ほい、これ着替えっス。車で待ってるんで、水入らずでどうぞっス」
『……伏黒くん』
「さっさと行ってこい」

あぁ、またガラの悪い目が出てる。