限界オタクの倫理観で呪術師をやってみた２【呪術廻戦】 (ページ1)

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第五十話　オタクは見せかけが得意ページ1

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妙にセンチメンタルになっていた昨晩もあっという間に明けて。自室から一階に降りれば父は既に仕事に出かけていた。

「おはよう」
『ん、おはよー』

殴られた後などは特にない。
そりゃそうだ、あれは暴力を振るう勇気なんてないから。
物を蹴ったり威圧的な態度を取ったりするだけでも十分に訴えられる材料になることを知らないから、手さえ出さなければいいという思考なのだ、きっと。

「今日からは、帰りも早いの？」
『日が暮れる前には帰れると思うよ』
「遅くなるなら連絡しなさいね」

それきり会話は特になくて、朝食を済ませたらすぐに家を出る。こんなに早い時間に出る必要も無いのだけど、いつもかなり早く学校に着くことが日課のようになっていた。
父も母も、あまり好きではないから。

「朝早いんだね。おはよう」
『………え？』
「あれ、覚えてない？昨日恵といたでしょ？一応あの子の保護者なんだよね、僕」
『……じゃなくて、なんで家』

知ってるの、と聞こうとしたけれど、あまりに満面の笑みを浮かべるものだから続きの言葉が言いづらい。
手段を口するつもりは無いらしいが自宅を特定された。
昨日の時点で軽薄そうな人格が見えていたが、良い大人とは言い難い人間であることに間違いはなさそうだった。

『何でしたっけ、五条センセイ？』
「そう。五条悟。呪術高専の教師をしてるんだよね」
『教師……………………』
「君めちゃくちゃ顔に出るね？」

どう見ても教師って柄じゃねぇだろ。
呆れた顔で見ていれば、気にせず歩き始める五条先生。
五条先生、でいいのか呼び方。
そもそも呪術高専って何だよ。
色々と疑問を浮かべていれば、私の心を読んだかのように全て解説してくれた。
うーん、信用のようなものが今のところゼロに近いぞ、この人。

『あの、伏黒くんは？』
「昨日預かった呪物の蛇ノ禰(へびのね)……あの笛の名前だけど。残穢からあれの経路を調べてもらってる。君が見つけたのは外だけど、本来校内にあったものだからね」

残穢とやらが何かは知らないが、あの笛、学校にあるものだったんだ。
どこかに埋められてたとかかな。歴史がありそうだもんな。
というか蛇ノ禰って言うんだ。かっこいい。

「だから僕は僕でお仕事をね」
『JCの住所特定が仕事なんかよ』
「そんな真面目ちゃんみたいな格好しておいてだいぶぶっ飛んだ性格してるよね君」

そりゃ見せかけだからな。
目をつけられたくないからおさげ眼鏡やってんだよ。