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覚悟 ページ16

8月11日(土)


『………はぁ』



…約一週間前。
あの夜にあったこと、いまだに忘れられない。


*****


“普通じゃ当たらないよ、こんな距離。…でも君は当てた。その腕はあらゆる人間から狙われる”


冷静な瞳。
けどそれは、決して見放されるような冷たさではない。


“……もっと後に言うつもりだったけど。でもAちゃんなら大丈夫そうだね”

“大丈夫、って…”




“その覚悟なら、もうとっくに出来てるでしょ?”



*****


『結局返事はできなかったし…』


…でも。
真里奈を撃った、あの瞬間。
ゆづに名前を呼ばれた時、私はどこかで覚悟ができていた。

自分の才能になんて、全く気付いてなんかなかったけれど。


『………大丈夫』



私はもう決めている。
帰る場所はここだと、決めている。
だから今更逃げる気なんてないのだ。


…そんなとき、コンコン、と扉がノックされる。


「…双葉」

『ゆづ?…どうぞ』


扉を開けると、支度を整えたゆづがいる。
私はまだ支度を終えていないのだが。


「今日、空いてるか」

『うん、空いてるよ。』

「じゃあ銃選びに行くぞ」


それだけ告げられ、部屋を出た。
どこか無愛想なようにも思えるが、それは先週から私の様子がおかしかったからだろう。
なんだかんだ、今まで調子を元に戻せていないことが証拠だ。

ゆづが私に何かあったのか尋ねないのは 自分のことを聞かないでほしいことの裏返しに思えてしまった。


『やめよう。らしくない。全然らしくない。』


そうブツブツと呟きながら、支度を始める。




…今日から、夏休みだ。



*****



「おそようございますAさん!今朝は夕日の特製メニューです!」

『遅いかな?8時だけど…』

「夕日的には遅くないです!」


…なぜ おそよう なのだろう。
なんて内心つっこんでみて、席に着く。


『すごい。スコーンだ』

「結構簡単ですよ。今日は成人組がお仕事などで早めに出られたのでAさんに特別です!」

『春日くんは?』

「春日は休日11時まで寝ています」


虚ろな瞳は起こしても起きませんと物語っている。
と、夕日ちゃんも私の前の席に座ってスコーンを頬張る。
それはそれは美味しそうに。


『…ゆづは、ご飯食べてた?』

「コンビニのパンを食べてきたそうです。」


キョトンとした顔でそう言われ、笑顔でごまかす。


「……むぅ」


どういうつもりで言った言葉か、尋ねられず。
…私もスコーンを頬張った。



*****

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リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい言葉です…!頑張ります! (2019年3月11日 13時) (レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い!私は真夏さんが好きです!イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね! (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます!はい、頑張ります! (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ!( ☆∀☆)面白かったです!私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね! (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2018年11月25日 11時

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