結末は ページ25
「や…、やめろ！！今お前が俺を拘束すれば、成り立っている裏社会の形が崩れる！！良いのか！？」
「…そりゃ大変だな。テロの反乱が拡大化して俺らの仕事も増えちゃいそうだ」
「ああ、そうだ…！だから今だけ、見逃し＿＿」
耳をつんざく銃声。
それとともに、男は一瞬にしてうな垂れるように倒れた。
意識を奪う痺れ薬だ。本当は殺してやりたいが、これからのことを考えるとそれはあまり良い策ではない。
「テロが増えようが、お前が死のうが地獄に落ちようが＿＿＿＿…もうどうでもいいんだよ、そんなこと。」
長い髪が目にかかっていた。それをかきあげ、ピンで留める。
男を肩に持ち上げ、車へ向かった。
「透さえ守れれば、透が幸せなら、それでいい。」
それを妨げる者がいるなら誰だって許さない。
彼女の大切な人や、自分の大切な人を殺す者がいるのであれば、躊躇いなくその人間の息の根を止める。
「悪、魔……ッ！」
どこかに隠れていたのであろう男が、自分に向けて銃口を向ける。
それはかなり震えていて、引き金を引いたところで当たるとは思えない。
左手にある自分の銃を相手に向け、奴より早く弾を撃つ。
「それでも俺は、悪魔になってでもこの世界を正しい形に戻す」
コツ、コツ、と。
廊下に歩く音が響いた。
＊＊＊＊＊
【22時18分】
「怪我はこれだけ。平気だ。…お前こそ、怪我してねぇの」
『あ…確かに、してないかも。』
「……」
複雑そうな顔をした。
少し前に痛みに慣れておいた方がいいと言ったあれだろう。
そこまで心配してくれているのが嬉しいが。
『……真夏さん、まだ寝てるんだよね』
「透さんの心配しろよ。あっちは怪我の一つもしてねーし」
呆れるように呟いたゆづ。
瀬名は無事警察へ送り届けられ、私たちは事務所へ戻った。
ゆづは、今日はここで泊まっていくらしい。
透さんは正染専用の病院へ運ばれた。
『……そう、だね。…でも、辛そうな顔してたから』
きっと…昔を思い出してしまったんだろう。
真夏さんがただ一言だけ言ったあの言葉を思い出す。
“……俺も透も、何にも変わってなかった”
その顔が悲しそうで、私もなぜか胸が痛んだ。
「真夏さんは、透さんに異常な執着をしてる。あの人はそれをわかってて、それを変えないといけないともわかってる。」
だから、たぶん大丈夫だ。
…そう言ったゆづにも、不安の色が滲んでいた。
『…そうだね』
なんの根拠もなく、私は笑った。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年7月15日 12時
