雨の物語。1 ページ15
「なっちゃーん！起ーきーて！」
布団を揺さぶるその女は、自分の幼馴染。
…舞多透。
「うるせぇ…」
「うるさくて結構！準備して！遅刻しちゃう！ていうかなっちゃん前髪長い！ピンで止めるとかしなさいよ！」
本気でうるさい。
耳を軽く抑えつつ学ランに着替える。
中学2年になったのはつい数週間前。慣れた制服を袖に通した。
「どうする？朝ごはんまだよね？私待つけど…」
「そこだけ律儀なのは何だよ。別に良い」
「けどね、朝ご飯食べないと授業も集中できな…」
はいはい、と流して階段を降り、靴を履く。
透は怒りつつも笑っている。
…何だこいつ。
「ねぇ、なっちゃん。」
「ん」
「あの人たちと関わるの、やめないの？」
心配そうにそう言った。
とある事をきっかけにつるんでいる…いわば不良の連中だ。
「理由があるからな」
「理由は聞かないわ。私もやる。不良。」
「………は？」
グイグイと腕を引っ張って、多分向かう先はアイツらのいるところ。
「待っ……おい！」
＊＊＊＊＊
その日の放課後。
「なーなー真夏ぅ。透ちゃん紹介してって。」
「無理」
「何で？好きなん？」
コイツらは基本的に授業はサボるし他校と問題行動ばかり起こす。
自分はそれと同じ行動をする＿＿＿＿＿でなく、それを最小限に抑えるために付き合いを続けていた。
こんなこと、誰かに言ったら偽善者だとか言われそうだが。
「俺、帰るわ」
「は？付き合い悪いぞー。今から長中の奴らボコるんだけど？」
「…またかよ」
呆れて睨むも、まぁ怯むわけもなく。
立ち上がって無理やり肩を組んでくる。
「な？来るだろ」
「…ん」
＊＊＊＊＊
喧嘩し合う奴ら。
正直こんな奴らのことどうだって良い。
でも、透なら。
アイツなら＿＿＿＿…
「おい、そこまでに…」
「ストーーーップ！！」
路地裏の入り口付近に立っていたのは、間違いなく…透。
「女？」
「へぇー。」
「…おい、良い加減にっ、」
叫ぶように言うが、その発言すらいい終わらぬうちに、透に手が伸びる。
…悪いのはコイツだ。
こんな危ない場所に、無計画に。
バカだ、バカだ、バカだ、バカだ。
…でも。
「そいつに………っ、触るな！！！」
頭に血が上った。
少し、イラっとしてしまった。
それくらいしか言い訳ができない。
だって、悪いのは自分だから。
でも、何故だろうか。
＿＿＿…確かにここにいる自分は人を殴ることを快感に思っていた。
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作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年7月15日 12時
