カフェオレ (ページ35)

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薄暗い部屋ページ35

ゆうたSide

撮影御、やらなきゃいけない編集を
やまとが引き受けてくれて『行ってこい』と
背中を押してくれた。

急いでAの家に向かう最中、

何度鳴らしても電話に出ない。

Aがひとこと、

行ってないよと言ってくれれば

嘘でも信じたのに

返ってこない返信、繋がらない電話が

もう全ての答えだった。

「A！」

インターホンを押しても、名前を呼んでも

Aは出てこない。

ドアに手を掛けると、不用心にも鍵は開いたまま。

「…入るよ？」

薄暗い部屋の中、テーブルにうつ伏せになっているAの姿があった。

「なぁ、A」

A「ごめん、ごめんなさい」

「…やっぱ行ったんだな」

A「本当に…ごめんなさい…」

「顔あげて？ちゃんと話そ」

A「もう、ゆうたの顔見て話せない…っ」

Aの体は小さく震えていて、でも俺は

抱きしめてあげることもできなかった。

「じゃあ、そのままでもいいよ」

A「…行った、ひゅうがの家。」

わかっていた事なのに

Aの口から聞く事実は、俺の胸を刺した。

A「ひゅうがに…迎えに来てって、言った」

「…うん」

A「それから、ひゅうがの家に行って」

「…」

A「…ひゅうがに、抱きついて」

「わかった、もういいよ」

A「キスして、それから…」

「…いい、もう何も言わないで」

Aの頭を撫でながらも

無数の針に刺されたような痛みは続いた。

紛れもない浮気をされていたのに、

別れるという選択肢すら浮かばなかった。

いつか、まだ時間がかかってもいい。

Aの中にまだ残る、

ひゅうがへの想いが無くなるまで

俺、ずっと待ってるから。