Saotoubo. (ページ5)

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｢ほんとに驚いた、同じ大学だったなんて｣

北｢僕もビックリしました｣

｢しかも学部までね。てか、店長教えてくれても良くない？！｣

北｢ははっ、ですね｣

“歳近いんだし”みたいなこと言ってたけど、私が早生まれなだけで、学年一緒だし。

履歴書見たら同じ大学だって分かるし。

ちょっと抜けたところのある店長、それでもいい人だから憎めない。

講義が終わって、声を掛けようとしたら、向こうもこちらを捉えていて。

お互いに軽く会釈をしてから、食堂でお昼ご飯を食べる流れになった。

｢家、この辺りなの？｣

北｢はい、一人暮らしです｣

｢じゃあバイト先、遠いんじゃない？｣

北｢そうですね、結構かかりますね｣

わざわざケーキ屋を、しかも家から電車で1時間くらいのケーキ屋を選ぶ松村くん。

やっぱり、珍しい。

それなりの理由が無いと、納得いかない。

｢なんであそこをバイト先に選んだの？｣

北｢ああ…えっと、｣

｢あれ、なんか私、まずいこと聞いちゃった…？｣

北｢いやいや、そんな事ないです…！完全に、こちらの事情で、｣

｢全然、答えたくなかったら言わなくていいから！｣

北｢いや、あの…｣

何となく気まずい雰囲気になって、やっちゃったな…と無心で牛丼を食べ進める。

人のプライベートに遠慮なく入り込んでしまう癖があると、樹に昔言われたことを思い出した。

“それがいい所でもあるけどさ、お前、もうちょい危機感持った方がいいよ”

さすが幼馴染。樹の忠告、当たってる。

それから数十秒、同じようにうどんを食べ進めていた松村くんが水を飲んで、顔を上げた。

北｢厨房の京本って知ってます？｣

｢えっ、あ、うん、もちろん知ってるけど…｣

北｢僕、京本に誘われたんです｣

｢えっ、知り合いなの？｣

北｢はい、中学校が同じで。昔は、結構仲良かったんですよね｣

｢そう、なんだ｣

昔は、ってことは、今はそうでも無いのかな…？

でも、それを聞いちゃうほど私も馬鹿じゃないから、今度は口を噤んだ。

北｢あんまりお店の人達にバレたくなくて、言うか迷ったんですけど、藤田さんならいいかなって打ち明けちゃいました｣

そう言って微笑む彼の柔らかさに、少し救われた気がした。

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