Saotoubo. (ページ4)

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受講者が20名程の小さな講義で、教室も小さめ。
その中で、いつもの定位置に腰を下ろす。

確かにこれだけ小ぢんまりとした授業だと、樹に馬鹿にされても仕方がないか。

でも、いくらマイナーでも、日本の伝統文化、例えば平曲や人形浄瑠璃など、について学ぶこの授業が私は好き。

チャイムがなって、おじいちゃん先生が入ってくる。

ゆったりとした足取りで中央の机までたどり着いて、恐らく受講者のリストであろうノートを開いた。

浅田さん、岩井さん、近藤さん。

ゆっくりと順番に出席を取っていく。

“平田さん…はお休み”

“松村さん”

はい、と少し低めの心地よい声が教室に響いた刹那、私の頭をハテナが巡る。

ん？松村？

あの子と同じ苗字、あの子と同じ声音。

音のした方に目を向けて、さらに驚く。

｢あ、｣

綺麗な黒い艶髪に、通った鼻。
間違いない、下の名前は北斗だ。

“藤田さん”

｢あ、えっと、はい｣

予想外の出来事に、変な返事になってしまって恥ずかしくて、少し俯く。

あ、とどこか遠くで声がした気がした。

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