急遽 ページ13
『だからー、大丈夫だって』
今日は１１時に事務所、の予定だったから
９時過ぎまで寝れるなぁって思ってたのに
「お兄ちゃんたちは、心配なのっ」
朝７時に２番目のお兄ちゃんからの電話で起こされた。
関ジャニさんの、とは言ってないけど
某事務所のアイドルグループのマネージャーになったことは
ラインで軽く伝えておいた。
心配してくれるのはありがたいけど
お兄ちゃんたちに頼りたくない。
また、昔みたいに
周りにある棘に刺されたくないから。
『もう、仕事だから切るよー』
半ば強引に電話を切って、シャワーに逃げ込んだ。
無駄な早起きを呪いながら
昨日の丸山さんとの時間を思い出す。
−・・・そういえば−
−Aちゃんって、呼んでた・・・−
人柄なのか、意識してなのか
ナチュラルすぎて違和感なかったけど
下の名前で呼ばれてたことに今更気付いて
ムズムズして、恥ずかしくなる。
シャワーを浴びて、ふとケータイを開くと
榊さんから着信が入っていた。
『ここで・・・合ってるかな？』
着信を見て掛けなおすと
今日のスケジュールが急遽変更になって
錦戸さんの迎えが早くなったからお願いしたいって
テンパってる榊さんから頼まれた。
Aちゃん起きてて助かったわぁ〜
マンションの場所は地図送るね！
榊さんも田中さんも、他の現場やら迎えがあるからって
初めて頼られて、ちょっとお兄ちゃんに感謝した。
事務所に車を取りに行って
地図の示すマンションの前で
待つこと５分。
「・・・ざいまーす」
昨日ぶりの声が聞こえた。
『あっ、おはようございますっ』
後部座席のドアが開いて、顔を覗かせたのは
目が開いてるか開いてないかぐらいの
とっても眠そうな、錦戸さん。
錦「・・・事故んなや？」
バックミラー越しに目が合って
ちょっとカスれた声で
そう呟くと目を閉じた。
代わりにあたしが迎えにいくことは
どうやら榊さんが伝えてくれてたみたいで
「なんでお前やねん」
とか
「お前じゃ話にならへん」
とか
急遽錦戸さんを迎えにいくってなって
開口一番に怒られるかなぁって
ちょっと想像してしまっていたあたしは
一安心して、車をスタートさせた。
もうそろそろ、指定のスタジオに着く。
言われた通りに、事故らないように
できるだけ安全運転で車を進めていると
錦「・・・お前、まると昨日飲んだんやろ」
静かだった後部座席から
突然、声が聞こえた。
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作者名：りん | 作成日時：2017年12月29日 1時
