思うほど、簡単じゃなくて―橙― (ページ2)

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面接ページ2

転職活動は前の上司に噂話流されたりで、順調とは言えなかったけど
同じ職種を選ばなければいいやと思って、割り切ってた。

アメリカで知り合って、日本でメイクの仕事してるケンさんが

「会社名はまだ言えないけど、英語しゃべれる人、おっきい企業が募集してるよ」

って、ある日連絡をくれた。
どんな職種か分からないけど、とりあえずお願いしてみた。

メイクさんに渡した履歴書の書類審査は通って、おっきな応接間。
ビルもおっきいし一等地だし、なんか、洗練されてるし。

－あたし、場違いじゃないかな・・・？－

面接が始まって、いかにも、なおじさん達と言葉を交わす。

「英語は、できるんだよね？」

『はい、日常会話は問題なくできます』

「そっか、、、あの、こんなこと聞いて失礼だけど・・・」

「男のフリ・・・できる？」

高そうなスーツ着て、ネクタイ締めてる中年のおじ様が
想像もしなかったこと言い出したから、思わず笑ってしまった。

『・・・？笑』

「あー・・・ゴメンね。あのふざけてる訳じゃなくて」

「うちの会社今人材不足でね。ただ今後を見据えて、あなたの様なグローバルな方求めてて」

「でも、色々ね。ほら。うちの会社、女の子は入れずらくて」

『そう・・・なんですか』

ここの会社については、面接決まったって連絡きてから一応概要は調べてきた。
男性グループを多く抱える事務所、老舗、大手、、、
募集職種は：マネージャー

でもそれ以上調べる時間が無くて、よく知らなくて反応に困る。

「あなた見た目もね、、、ほら。男の子っぽいから」

「頑張った分だけ、認めるし。福利厚生もきちんとしてるし、後悔させないから。」

「そこの部分、どうにか折り合いつけて、、、是非お願いします！」

大の大人が、こんなあたしに頭下げてくれてる。
なんかこそばゆくて嬉しくて、ここならやりがい見つけられるかもって

『こちらこそ、是非、お願いします』

反射的に、答えてた。

さっき言われたように、ほら、見た目は男の子と間違われるぐらいだし。

おにーちゃん達といて、悲しい言葉言われるようになって
自分なりに考えて長い髪の毛も、バッサリ切って

メイクもネイルも、あきらめた。声もできるだけ低くして。
私服もいつも大きめのＴシャツにパンツ、スニーカー。
うん。女子らしさ、なし。

男のフリして仕事できるなんて、天職かもねって

半ばヤケになって、ここにお世話になることにした。