天使の声【ヒロアカ】 (ページ7)

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7話ページ7

「ここはこの公式じゃなくて、こっちの公式だと思うよ」

『あ…ほんとだ…ここから全部間違えてるんだね』

ち、ちちち近い…！！
図書室の受付場所はそこまで広くないし、同じワークを覗いてるしで天使さんとの距離が近い…！！

天使さんはまた問題を解きなおしている
応用で結構計算も多いから時間かかるよね

今朝のヒーローニュースノートに纏めておこう
僕は一生懸命ワークと睨めっこしている天使さんを横目にノートを取り出した

『と、解けた…解けたよ緑谷くん！』

「ほんと！？良かったー！」

パァっと花を咲かせるように笑顔を見せた天使さん
嬉しそうにワークとノートを交互に眺める姿は無邪気で可愛らしい

容姿端麗、文武両道、気高く神聖、高嶺の花、
クラスメイトが時折口にする彼女に対しての評判は、大概がこんな感じのものだ

でも

『ありがとう、緑谷くん！』

「…うん！」

案外普通の女の子なのかもしれない
問題が解けて嬉しそうな顔をする彼女に頬を熱くさせながらそんなことを思った

『そのノートは…？』

「ぇ……あ、」

天使さんが指さした先には【将来の為のヒーロー分析】のノート
幼少から書き始めたもので、ヒーローの個性や技、戦闘方法や敵との相性などが細かく記入されている
早いもので、今ではもう13冊目になっていた

今開いているのはシンリンカムイの個性や特徴を書いたページだ

『すごい……ちょっと見てもいい？』

「え？う、うん」

僕が頷くと天使さんはノートを手に取り1ページずつ、本を読むように目を通していく
白い睫毛を上下に動かす度に、桃色の瞳がチラチラと見え隠れした

そ、そんなに丁寧に見られると恥ずかしい……

『No.13……これを13冊も…』

「う、うん…小さい頃から書いてるんだ、」

ノートの表紙の文字を指で撫で、小さく呟く天使さんに緊張で心臓が煩く鳴る
人に見せるために書いてる訳じゃないし、こんなに真剣に読まれたのももちろん初めてで

…引かれたらどうし＿＿＿＿＿

『ヒーロー、大好きなんだね』

「！ッうん！！」

柔らかく口角を上げる天使さん
ドクン、と心臓が大きく跳ねる

………今なら、天使さんなら…

「ｯ天使さん…！実は僕っ！！」

キーンコーンカーンコーン
僕の勇気を打ち砕くように、図書室にチャイムが鳴り響いた

『どうしたの？』

「い、いや…ごめん、やっぱりなんでもない！」

…また今度にしよう