天使の声【ヒロアカ】 (ページ1)

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1話ページ1

「それじゃあ図書委員は天使(あまつか)さん、よろしくお願いします」

『は、はい！』

新しく学級委員に任命された生徒が図書委員と書かれた下に天使Aと板書する

天使、と呼ばれた少女は緊張した面持ちで『よろしくお願いします！』とその場で深くお辞儀をした
隣から「頑張って！」と女子生徒から激励の声がかけられ、少女は顔を綻ばせる

天使A
折寺中学校3年生

容姿端麗、頭脳明晰
立っても天使、座っても天使、歩く姿はもちろん天使と、有名な一節を文字って皆が裏で彼女のことをそう呼んでいる
しかしそれを本人は全くもって知らない
なぜなら彼女は

『(どうしよう、私に務まるのかな…皆応援してくれてるけど不安……そういえば委員会は隣のクラスと一緒に仕事するんだったっけ…！？怖い人はやだなぁ…)』

超絶ネガティブで引っ込み思案だからだ
そしてもう1つ、

「それじゃあ天使！よろしくな！」

『ッは、はい…、』

少女の担任である男が天使の肩に手を乗せて激励すると、体を強ばらせる
彼女は軽度の男性恐怖症だった
日常会話をする程度なら平気だが、触れられるとどうしても怖くて身構えてしまう

放課後、早速初回の委員会があるらしく、彼女は重い足取りで図書室へ向かっていた
先程の担任から触られた肩を掴んで翼の生えた背を少し丸める
そして窓に反射する自身の不安げな顔を見てため息を吐いた

『はぁ……こんなんじゃ…』

ヒーローになれない。
彼女はその言葉をグッと喉で留めた
口にしてしまえば余計に現実味が増す気がしたからだ

その代わりにまたため息を1つ

しかし彼女はまだ知らない

中学最後のこの1年が、ある出会いが、彼女を大きく変えることを