花になりたい彼女 (ページ19)

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17輪ページ19

気づいたら体が動いていた

コハクの腹部に向かっている槍先を目で捉える

…ざっと2m

「…！？」

「Aｯ！？」

「ええええええええ！！！Aちゃん！？」

助走を付け思いっきり飛んで槍を蹴りあげた

刃先が少し掠って痛みが走り、顔を歪める

面白いくらいビックリした表情の氷月

そのまま槍を奪い目の前に突き出す

『退いて』

別に多くは言わなくていい

これで本当に退いてくれるわけないから

「いいですねAさん…今の動き」

ほら退いてくれない

『貴方に褒められても嬉しくない。いいから退い…』

「その翡翠が余計に欲しくなりました」

『！？』

一気に距離を詰められ一瞬呼吸が止まった

けど逆にチャンスだと思って顔目掛けて回し蹴りをすると呆気なく足首を掴まれて持ち上げられてしまった

わぁ…千空焦ってるなぁ…後でまた怒られるや

「惜しいですねぇ…スピードはあるのに力がないからこうやってすぐに捕まるんですよ」

軽い口ぶりで私の手から槍を奪い取る氷月

いったｯ…力づくすぎでしょ

『ｯ頭に血上るから降ろして』

力が足りないことくらい自覚してるし、

分かってることをわざわざ丁寧に言われてお臍辺りが少し熱くなる

「司くんに言われてるんです。もしもAさんが生きていたら殺さず連れてこいと」

『！』

「…？……！ククク、そういうことかよ…！」

何が分かったのか分からないけど流石に気持ち悪くなってきた

頑張れ私の腹筋…！

『ふん…！』

「！これでもまだ動きますか」

思いっきり起き上がって顔面をもう片方の足で蹴ってやった

流石に予想してなかったのか力が緩む

その隙にするりと脱出成功して見事着地

した瞬間既に槍先が私の首へと伸びていた