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章ちゃんと私は、そうはならないって思っていた。
章ちゃんは優しくて、強くて、朗らかで。
いつも自分のことで精一杯で、弱くて……
そんなダメな私とは正反対だ。
双子だなんて言われてたけど、内情は全然違う。
『とりあえず、顔が見たい』
そんなわがままを言って、タクシーを拾う。
どんな表情で、どんな心で、どんな切なさを抱えて、この2年を過ごしてきたの。
聞きたいことが雪のように、胸に積もる。
好きだった気持ちを思い出せないのに、どうしてこんなに苦しくなるんだろう。
思い出せない彼方のいつかも、こうやって私は、次々遠ざかる外灯を見ていたー。
……そんなことだけは感覚的に分かった。
「……」
「…Aちゃん、」
「……うん」
返事はした癖に、眼を見られない。
怖かった。
正直に言ってしまえば、すごく。
ごめんね。
申し訳ない。
どうしてきたの？
どうしたらええの？
言いたいことは分かっている。
それでも何を選べばいいのか、私には分からない。
「…………、あの、」
「ええよ、何も言わへんくて。」
「でも、章ちゃん、ごめん。
やって私、章ちゃんが嘘ついてるて思うてて、その、あの他の馬鹿とおんなじやと思うてたから」
「…うん。」
「あんな、その、真山さんが自分のモノ片付けって、そう言うたから、ちょっと探してん。
それで、段ボール開けて、そしてたら指輪出てきて、気付いて。
………」
「もう、言いたい事は終わった？」
「……うん」
「もう、何でもええねん。
Aちゃんがおって、僕もおって、それで」
「でもな、あの」
「思い出されへんくてええから」
「でも」
「選んでえな。…また、選んでや。僕のこと」
どうしたらいいのかも戸惑いながら、何となく章ちゃんの手に触れた。
目を合わせないまま、その手を見ていた。
「なに、どうしたん」と言う優しい声が、降ってくる。
「何でもあらへんねん、ほんま」
口から出たのは適当な言葉で、私はまた、『恋情』の歌詞の意味を考えていた。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
