27 ページ37
.
「こんなん有ったな〜」
思わず懐かしくて、ぐいと持ち上げる。
するとその二着のパジャマの間から、何かがフローリングに、にぶい音をさせて落ちた。
ハンカチに包まれている、四角い物。
パッと外すと、そこには小さなアクセサリーボックスがあった。
心臓につめたい風が吹いた。
手が震える。
なんだこれは、いや、どうしよう。
……頼むから、自分で買ったモノであってくれ。
そんなものをわざわざ、タンスのパジャマの段に隠しておくかなんて、普遍的に、分かりきっていたことだけれど、それでも、思わずには居られなかった。
指輪だ……。
開けるとそこにあるのは指輪だった。
常識的に考えたってこの箱は指輪だろう。
混乱する頭をなだめながら、ゆっくり填めてみる。
一応、人差し指にいれてみても、入らない。
間違いなく私の薬指のサイズだった。
小さなダイヤの石が、品よく付いていて、普段使いしやすい、私の好みに当てはまる代物だった。
間違いない。
誰かが、私に。
決定的な証拠の登場に、どうしようもなく動揺してともかく外し、箱に戻そうとした。
すると、内側に何か刻印が見える。
一文字の、それだけのアルファベット。
そうか、そうなのか。
私はついに気がついてしまった。
私の知らない、私の愛した人。
私を理解し、近くに居続けてくれた人。
真山さんは全部知ってたんだ。
知ってて、指輪のことも分かってて、それでわざと……。
私は腹を括って電話を掛けた。
見慣れた文字列に吐き気がするほど緊張を覚える。
「……もしもし、」
「どうしたん」
「今大丈夫？」
「全然ええけど」
「…私ね、見つけたよ」
「ん、？」
「指輪。」
「………」
「自分で思い出されへんくて、ごめん」
「………よかった、気づいてくれて」
「まだ、思い出してないねやけど、これから頑張って思い出すから、協力してや」
「うん」
「ほんま、今までごめん。
それと、ありがとう。
……………章ちゃん。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 163人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
