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病室に戻ると、窓からの光を受けて、上半身を起こすAちゃんがいた。
先生からの話はもう終わったようだった。
すっとしたその姿は、あまりに綺麗で清らかだった。
「A、俺らがAのこと、支えるから」
横山さんの絞り出した声に、顔を向け、彼女は微笑んだ。
「色々迷惑かけてごめんなさい。
これからも掛けることになるみたい。
記憶のことも……あの、やっぱり、私は正直に言うべきだと思うてて。
思い出すかも分かれへんから、『3年間の記憶が曖昧』とか『混乱してる』とかかな、とは思うてんねやけど。
皆と出した曲もすぐまた覚え直すから。
3年間、取り戻すから。
それに眠ってた2年間も。
私、どうやってここに今至るのか、よく分からへんねん。
でも、生きててよかった。
ほんまに、皆、ありがとう」
そうだ、この子はそういう子だった。
だから私はこの子が好きで、皆もこの子が好きなのだ。
その日の夜、事務所から正式に報道機関に連絡が入った。
正直、もっと遅くてもよかったのだけど、マスコミが感づいて噂されるよりは、早くファンを安心させたいというAちゃんの希望だった。
その知らせは、日本列島をニュース速報として駆け巡った。
Twitterのトレンドは当たり前のように一日中一位を陣取り、病室をなんとか撮ろうと、病院の周りにマスコミが詰め寄せた。
入院したての頃みたい、と律ちゃんはわらった。
リハビリ期間が3ヶ月と分かると、その波は随分減って、私達関係者も行きやすくなった。
メンバーをそれぞれ送る時には、皆が病院に寄ってくれと言った。
私はそのために、他の人より多く会っていたと思う。
もちろん面会時間など、とっくに過ぎていたりもしたのだが事務所が医療機器を『寄付』していたので、お咎めなしだったようだ。
仕事終わりが夜だったりすると、ただ寝顔を見るだけの時もあった。
それでも呼吸器を付けずに寝ているのを見るのは、
また前とは違った。
皆、父親みたいな顔をしていた。
当たり前だった。
メンバーにとって、仕事仲間であり友人である前に、彼女は家族、しかも子どものような存在だった。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
