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章ちゃんとのお出掛けから帰り、風呂に入る。
なんだか心が疲れてしまった。
クローゼットを少し片付けよう。
指輪が出てきたように、また何か見つかるかもしれない。
馬鹿馬鹿しい思考を信じてみることにする。
………一応、スーツなんかも持っていたんだな。
クリーニングに出したままのひと揃いを、そっとかけ直す。
……さて次に行くか、そう、思った。
その時だった。
あれ、どうしてこれを買ったんだろう。
私、あれ、どうしたんだろう。
そうだ、そうだった…。
思い出した。
……お母さん。
―――6年前。
私はその日、東京で収録をしていた。
木曜日だったのを強烈に記憶している。
律から掛かってきた電話を、私は取れなかった。
その時私は、笑って、喋っていた。
みんなと一緒に。いつもと同じに。
私が連絡に気づいたのは、もう夜中だった。
急いで向かった病院で、母はとっくに冷たくなっていた。
律が学校から帰ってきた時に、母は自宅の床に倒れていたそうだ。
律も私も、お別れも言えなかった。
一年近く会いに来なかった。
忙しさにかまけていた。
「テレビ見て、あ、元気なんやって思うてるから。
そんなに帰って来うへんくて大丈夫やで」
そんな言葉を鵜呑みにしていた。
私は、喪主になった。
父のいないこの家で成人している私が務めるのは、当たり前だけど辛かった。
あまりに唐突で、私は涙なんか一個も出なかった。
スーツはその時買った。
高校生から上京して離れて暮らしてちっとも親孝行できなかった、着慣れないスーツの私。
まだ17になったばかりで、ずっとめそめそ泣き続ける、制服の律。
地獄だった。
この二人が喜んでくれるから。
テレビの向こうで見ていてくれるから。
雑誌ごしに微笑んでくれるから。
だから私は、この薄淀んだ芸能界で
客席に自分を批難する団扇を見つけても、偉い人にどんなことを言われても、どこを触られても、本当の友達を作れなくても、恋愛なんか望めなくても、それでも私は、グループに居られた。
私を好きになってくれない人ばかりだった。
現場もネットも局も事務所も、学校も。
でも精一杯愛してくれる人が大勢居た。
現場に、ネットに、局に、事務所に。
グループに。
そして一番は家に。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
