6【真山】 ページ16
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仕事終わりに私が呼ばれたのは、Aちゃんと村上さんとの食事だった。
妙に呆れ顔の村上さんの目配せを、そっと受け取り、Aちゃんの眼を見る。
すっとした、真っ直ぐな視線。
これは大丈夫な奴だ、と感覚的に感じる。
Aちゃんが本当に大変な、とんでもないことを相談する時は、こんな眼はしない。
辛くて悲しくて、壊れてしまいそうな時、Aちゃんは、いつでも笑っていた。
転落事故の前も、ずっとそんな調子だった。
この特殊な世界で、彼女が生きてゆく為に得たのは、周りを安心させようと、必死につく嘘。
お湯が湧くように怒る、今のAちゃん。
正直、少しほっとして、返事を返した。
「ほんまに知らへんねやな？」
「…はい」
「あー、もうホントあれやわ、誰が嘘ついてんのか分かれへんわ」
「こう、話のアレなんじゃないんですか」
「章ちゃんがそんな嘘つくと思う？」
「それは…」
それは、ないと思います。
口から出なかった、そんな分かりきったことを頭で反復させる。
安田さんはみんなが言う通り、Aちゃんに一番近い人物だ。
誠実で、気を遣うのが上手くて、二人はよく似ている。
でも、それはまたこの問題とは違う。
「妹は、まるちゃんやって信じ切ってたみたいで」
「何でそう思うてたん」
村上さんの挟んだ言葉に、Aちゃんは、ため息をつきながら目を伏せた。
「何となくらしい。
まあとりあえず、そうやったとしても、ちゃうかっても、話さなあかんよね」
「せやな」
「でも、恥ずかしない？」
「え？」
私と村上さんが、二人して声を上げてしまう。
恥ずかしい。
どういうことか。
「まるちゃんも章ちゃんも、…おーくらさんも？
もしかしたら、私にとって特別かも分からん訳やん？
そんなん顔とか恥ずかしくて見られへん。
いや、皆待っててくれただけでも、ほんまに頭上がらへんのにさ、その人が、その上……彼女？としての私も、待っててくれた訳やろ？
もう何ていうか、きっと…」
「きっと？」
村上さんが続きを促した。
「……もしこれから先、空白期間を思い出せなかったとしても、その人との事の記憶が戻らへんくても、私な、きっと、その人をこれからでも、大切に出来るような気がしててん」
優しい顔でAちゃんは笑った。
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ゆうみ(プロフ) - みきさん» みきさん、コメントありがとうございます。ラストまでもう少し、お付き合いください！ (2020年1月20日 11時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！まさか…章ちゃんではない可能性が…？！ハラハラドキドキしながら続きを楽しみにしています。 (2020年1月19日 5時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。どの作品も読ませて頂いてます。まさかお相手が章ちゃんだったとは(*/∀＼*) 章ちゃん大好きなので嬉しいです！記憶も戻ってハッピーエンドになりますように。このお話の一話からもう一度読み返します！ (2020年1月8日 19時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年9月27日 5時
