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「久しぶり。元気？」
りかさんの新しく借りたであろうマンションは、もうすっかり片付いていた。
公式発表が今日だっただけで、本当はずっと前のことだったんだろう。
「…元気じゃないです」
「怒ってるの、」
「当たり前じゃないですか」
「なんで？」
「…悔しいから、りかさんに騙されて、あんなことさせられて捨てられて、人と付き合ったり出来なくなって、なのに、なのに連絡来たら、応じちゃう自分が情けない」
りかさんと会うのは、ほとんど十年ぶりだった。
顔を見ると、またあの時がフラッシュバックした。
つまり私は、どうしようもなくりかさんが好きだった。
りかさんは、当たり前のように私を抱きしめて、その後、私の顔をまじまじ見た。
悪魔のくせに、優しい微笑みだった。
「A、綺麗になったね。ずっとテレビで見てた」
「やめてください」
「もう、関西弁は使わないの？」
「メンバーの前以外では」
「私、好きだったのに。
忘れてないよ、告白してくれた言葉」
「………」
「ごめんね。許してなんて言わない。
でもまた始めたいって、そう思ってる」
「……どの口が言うてるんですか！
私が、どんな気持ちで、今日まで生きてきたか、
知らんからそんなこと言えるんと違いますか？！
たかが19歳の子供やったのに、汚い大人に、酷いこと何度も何度もさせられて、許されへん罪着せられて、今まで、私、私…」
背負った十字架と、同じ分の涙だった。
「私のこと、きらい？」
「だいっきらい…きらいできらいで、吐きそうなくらいだいすき…」
「…うん。」
これが、これだけが、私が思い続けてきたことだった。
りかさんを否定することは、あの時の私を否定することと一体化していた。
「…ねえ、償わせてよ私に。」
この人を拒絶することは、半身を手放すことと同じだった。
章ちゃんという存在が私と別々になった今、私はそれが怖い。
楽になりたい。
この十年、求め続けてきたものが、私に向かって、手を伸べている。
もういいじゃないか。
どうせ、もう穢れているんだから、倫理だとか、道徳なんて関係ない。
私は、この人のものになりたい。
…りかさんは、初めて私を抱いてくれた。
こんなにやさしい行為があるのかと、何度も薄れる意識の中で、罪を罪で塗りつぶした。
吹っ切るために、髪も染めたのに。
ごめんね丸ちゃん。今日は帰れない。
外は叩きつけるような雨が降っていた。
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ゆうみ(プロフ) - まーさんさん» 本当にありがとうございます！私もすごくお気に入りで自分でもたまに読み返します笑。最近あまり更新できなかったのでこれから少し頑張るつもりです。ぜひ読んでもらえればと思います。 (2019年10月25日 23時) (
レス) id: b00a6f057e (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - はしめまして。この小説の全てが好みすぎて初めてコメントしました……！月並みな言葉しか書けませんがとにかく好きです！ってことを伝えたくて、、！ゆうみさんの小説全て好みなのでこれからも無理のない程度での更新楽しみにしてます！！ (2019年10月20日 19時) (レス) id: 880f5c4f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月18日 9時
