75【黒】 ページ31
「……確かにな」
「な、あいつと結婚出来んねやったら……
その、俺、は？」
は？と呆れ顔で返される。
ダイニングテーブルの椅子に座り、顔を合わさずに呟いた俺に、砂袋みたいに全身溶けたAが顔だけこちらへ向けた。
「え、どういうこと、」
「そういうことや」
「あんな、よこやまさん。
私、誰かと結婚するのは、あの、無理やわ
よく考えへんくても。
……私色んな人とそういうことしてきてるやろ？
やのに、誰のことも一番に出来てへんねん。
一番からは選ばれへんかってん。
……私が向いてないことくらい分かってるやろ？」
「いや、そんなん分かってるけど…」
「……は？」
「Aの一番にしてくれんくてもええよ」
「いや、……え？」
「幸せになりたいんやろ。
あの人のために辛い思いして、もがいてきてんねやろ。でもなれへんくて、今に至るわけやろ。
な、俺のこと嫌いなん？」
「………嫌いなわけないけど…」
「じゃあ、」
「……これ以上は、キャパオーバーやわ……
今あれのこと整理しようとしてんねん私。
多分また、前の人と初めてしまう。
自分のこと愛してくれて、傷つかなくて良い人と、寝ることで欲求を何とかしようとすると思う」
「すればええやん」
「何言うてんの。不倫やでそんなん。
……私、よこやまさんのこと、ほんまにこれ以上迷惑かけたないし、不幸せにしたくない。
自分のモノになったら誰やって独り占めしたくなる。
それはよこやまさんもやろうし、私も。
それに、私はりかさんに一番にしてもらえへんかった。
独り占めに出来へんかった。
やから相手が誰でも、私は今度こそ自分のモノにしようと縛り付けてしまうと思うねん。
私は、自分は他の人と寝たりするくせに、私のこと縛られたないくせに、
誰かを自分にモノにしてしまったら私は、もう絶対離さへんと思う。
利己的にしか生きられへんねん私。
普通に生きるのが下手なんよ。
仕事なら正解が分かってそれがちゃんと出来るのに、こっちは正解分かってるのに出来へんねん…
そんなん分かってるのにどうして、わざわざしないとあかんねん」
うっすら涙の浮かんだその顔は、何かを堪えていた。
「だめかぁ…」
「だめやな」
ソファから1ミリも動かないまま、Aは置かれている状況よりも呑気に呟いた。
いや第一、ふたりとも呑気すぎる。
俺らの関係性も意味分からへんし。
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ゆうみ(プロフ) - まーさんさん» 本当にありがとうございます！私もすごくお気に入りで自分でもたまに読み返します笑。最近あまり更新できなかったのでこれから少し頑張るつもりです。ぜひ読んでもらえればと思います。 (2019年10月25日 23時) (
レス) id: b00a6f057e (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - はしめまして。この小説の全てが好みすぎて初めてコメントしました……！月並みな言葉しか書けませんがとにかく好きです！ってことを伝えたくて、、！ゆうみさんの小説全て好みなのでこれからも無理のない程度での更新楽しみにしてます！！ (2019年10月20日 19時) (レス) id: 880f5c4f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月18日 9時
