74【黒】 ページ30
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「……私、間違えたのは分かんねん。」
「うん」
「翠ちゃんも信ちゃんも反対してたし、私かて、ずっとこれが『本物』とちゃうことくらい分かっててん」
「うん。」
「やけど……私、無理やった。離れられへんかった。
りかさんを好きやった、あの頃の私を否定したくなかったから、わざと間違えた。
こうなるんやって、予想してたのに。
…………ほんまに、よこやまさん、ありがとう。
私、迎いに来てくれへんかったら、あの部屋で、私、りかさんのこと刺して自分も死んでた」
Aが、それを実行出来へん子なのは痛いほど良く知ってた。
事務所のこと、グループのこと、メンバーのこと、テレビ局のこと、家族のこと。
それを、人質に取られながら生きている俺達の中でも、Aは段違いに、それを大切にしていた。
もし刺せる子やったら、枕も断って早々に警察に突き出してるはずなんや。
何とか俺の部屋まで引き摺ってくると、Aはソファに身体を沈めて無表情のまま、目線を漂わせていた。
「幸せになりたいのに、なんで私は、それを選べへんねやろう。
前言ったけど、もうほんまに私独りやねん。
全部切ってしもうてん。
誰のことも、大切に出来へんかったけど、その原因を作ったあの人のことは、大切に出来たのに。
どうしたらええのか分かれへん。
別れたなんて聞いたら、信ちゃんと翠ちゃんに、また心配掛けるやろうな。
すばるくんの哀しそうな顔、見たないなあ。
まるちゃんも、章ちゃんも、どっくんも、おーくらさんも、何て私に言うたらええか、混乱させてまうなあ……。
私、みんなすら大切に出来てへん……」
痛々しかった。見てられへんかった。
「そんなこと、ないよ。
Aが、あの人と付き合ってるのはそりゃ皆、ショックやったやろうし
ヒナも翠ちゃんも、その、知ってんねやから、色々先走って考えてたのも仕方ないけど、今回のことで、Aは仕事に対しても、ほんまにどんどん成長したし、いい影響も有ったし。
そもそもAに大切にされてることくらい皆知ってるわ。
どんくらい……エイトを、大事にしてるかも」
「………よこやまさんは、優しいなぁ……。
りかさんの言い方違って、もっと優しく説き伏せられてたら勧められたまま結婚とかも、してもうてたと思う」
「出来るん？結婚。一人になんか絞れへんのとちゃう」
俺の言葉で、Aはいつもの人懐っこい目になった。
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ゆうみ(プロフ) - まーさんさん» 本当にありがとうございます！私もすごくお気に入りで自分でもたまに読み返します笑。最近あまり更新できなかったのでこれから少し頑張るつもりです。ぜひ読んでもらえればと思います。 (2019年10月25日 23時) (
レス) id: b00a6f057e (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - はしめまして。この小説の全てが好みすぎて初めてコメントしました……！月並みな言葉しか書けませんがとにかく好きです！ってことを伝えたくて、、！ゆうみさんの小説全て好みなのでこれからも無理のない程度での更新楽しみにしてます！！ (2019年10月20日 19時) (レス) id: 880f5c4f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月18日 9時
